第14話 2人の過去、今に繋がる決意

「まさか、神無と戦うことになるとはなー。」


「俺もそう思ってたぜ。幼なじみと大学生にもなって拳ぶつけることが出来るなんて滅多にないよな。」


「そうだなっっ!!」


最初に攻撃したのは喜里川だった。


グハッ


「どうだー?俺のパンチはー?」


「あの頃を思い出させるようなパンチだな。」



中学3年生の夏、神無と喜里川は一緒に遊びまくっていた。

その日もいつものように遊んでいたが、2人でだけ遊んでいた訳ではなかった。

紗月さつき葵唯あおいという同じクラスの女の子も遊んでいたのだ。

2人はその子に恋をしていたが、告白の結果喜里川と付き合うことになった。

しかし、2人はデートすらしていないと聞いた神無が3人で遊ぼうと誘ったのだ。


「海だ!!」


3人は海を見てはしゃいでいた。


「ハハッ!早速泳ごうぜ!!」


楽しそうな3人は太陽の光を浴びながらいつも以上に輝きを見せていた。


しかし…


「もう15時だなー。」


「…」


「何か言えよー。」


「ごめんね。ちょっと用事が出来たみたいだから先に変えるね。」


葵唯はそう言ってその場から離れていった。


「どうしたんだー?葵唯ー?」


「…」


「おいー。待てよー。」


喜里川は葵唯の手を掴んだ。


すると、葵唯の目に涙があることに気づいた。


「葵唯ー?どうしたんだ?何かあったのかー?」


喜里川は心配そうな顔をして、葵唯の頭を撫でた。


「ジュース買ってきたぞー!!どうしたんだ?2人とも?」


「何でもないよ!気にしないで!」


葵唯は背を向けながらそう言った。


「今日はもうお開きにしよー。」


喜里川は葵唯の様子がおかしいこと気づいて帰ることを提案した。


「もっと遊びたかったけど、わかった!」


「よし、じゃー帰るかー。」


寂しさが残る中、海を後にした。


次の日、葵唯は死んだ。

自殺だった。

部屋には手紙が残されていて、クラスメイトの女子達に嫌がらせを受けていたとの事が書かれていた。

原因は神無と喜里川と仲良くしていたこと、そして喜里川と付き合ったことだった。


「俺らのせいで葵唯は…死んだのか…」


お前たちのせいではないと教師からも、親からも、色々な人に言われた。

だけど2人は納得がいかなかった。

もっと自分達は傷つくべきだと思った。

強くなるべきだと思った。

だから…2人は…ぶつかり合った。

お互いに殴り合い、話し合った。

そして2人は決意した。

強くなろうと。

その姿を葵唯に見てもらおうと。


そして今の2人に至るのだ。


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