第11話 作戦とグループ誕生

「俺の作戦はこうだ。まず…」


神無には迷いがあった。

この作戦には危険が伴うからだ。

話せばきっと、これでいこうとなるだろう。


「まず、俺の作戦には危険が伴う。それをわかって聞いてほしい。そして、これを実行するかもきちんと考えてほしい。俺は1人しかいない。だから2人同時に守ることはきっと出来ない。だからこの計画で行くなら覚悟を決めろよ。どれだけ傷ついても生きる、そいつを助けて戻るって覚悟を。」


「私は絶対、湯地を助ける。これはもう決まってること。自分の心に、気持ちに、嘘はつけない。」


そう言った美波の顔には迷いも不安もなかった。

こんな顔をされたら誰だってわかったと承諾してしまいそうだ。


「作戦を話す前からその覚悟…かっこいいな。美波は。」


都は美波のことになると何でもしてしまう。

その理由がちょっとだけわかった気がした神無だった。


「私も、美波について行くって決めた。この気持ちを曲げたりしない。だから、どんなことだって受けて立ってやる。」


「都ってそんなに情熱的なキャラだったっけ?」


バシッ


「神無、余計なこと言わない!私は友達の為ならなんでもする人なの!」


「そっか。そうだな。」


神無は都を見て笑った。

初めて会った時、都は落ち着かない様子でどこか寂しそうだった。

だから声をかけた。

きっと美波が隣にいなくて不安だったんだと思う。

今となっては、こんなに楽しそうな都を見ることが出来た。

それだけであの時の行動は正しかったんだと思える。

そして自分の行動がこの瞬間を生み出した。

そう考えるとたまらなく嬉しい。


「簡単に言えば作戦こうだ。集会で俺が2郡に入る為の決闘を行う。みんながそれに夢中になる瞬間を狙ってお目当ての人を木の影へ連れ去る。そこで話してこい。」


「!?」


「ハハッ!驚いたか!俺は色々と知ってるんだよ!だから美波の助けるって気持ちが奴隷から解放するってこととは限らないってこともね!」


実は、神無は都の事が気になりすぎて後をつけていた。

そして偶然話を聞いてしまった。

つまり、ただのストーカーである。

その事に本人は気づいていない。


「その作戦で行こう!私、湯地とちゃんと話してくる!」


「よし!そうするか!」


「そうだね!美波!」



その後、3人は円陣を組んで掛け声と共に決意を言葉にした。

それぞれのありったけの思いを伝え、受け止めてくれる。

そんなグループの名はAAOとなった。

これは神無が付けた名前で、円陣を組んだ時の掛け声から取った。

つまり「エイエイオー」だ。

ダサいと思いながらもいい案が思いつかない為、この名前で行くことにした。

一時的なグループではあるけど、楽しいと思ってしまうのであった。

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