第8話 晴れ晴れ
「ありがと!!私に居場所をくれて!!」
「急にどうしたの?」
「最高の親友だなって思っただけだよ!」
スゥ
美波は大きく息を吸った。
「じゃあ私の本音を話すね。」
美波は話し始めた。
「私は、湯地を絶対に救いたい。でも、狂乱の奴隷から解放することが湯地にとって救いになるのかも分からない。」
美波は顔を曇らせた。
「私は久しぶりに会えた湯地が悲しい目をしているのが苦しくて堪らない。この苦しみから開放されたいって思いもあるから、結局自分の為にしてることなんだよ…」
「うん。」
「話がズレちゃったけど、私は湯地を助けるためなら何でもする。でも私の傍には都がいて欲しい。」
「これが私の本音だよ。」
美波はスッキリとした表情だった。
そして都も嬉しげな表情を見せる。
「そうなんだ。私は美波の傍に居たい。美波の為なら力を貸すよ。なんでも言ってね!」
都は少し恥ずかしそうに笑った。
「次は都の番だよ。」
「うん。わかった。」
都はまず、家族のことについて話し始めた。
特にお兄さんのことについて詳しく思い出しながら話した。
「私は、お兄ちゃんとお母さんとお父さんで暮らしてたの。お兄ちゃんが狂乱作ってからもちゃんと家に帰ってきてくれるし、お母さんとお父さんもお兄ちゃんのやってる事を応援してた。私の見た中で一番カッコイイお兄ちゃんでいつも楽しそうにしてて輝いて見えて大好きだった。今でも大好き。」
都は涙を浮かべた。
「お兄ちゃんが死んでからも家族みんなで支え合っていこうって思ったんだけど、やっぱりショックが大きすぎて、すぐには立ち直れなかったの。今ではお兄ちゃんのことを話したりして笑い合えるようになった。」
ここから表情がガラリと変わった。
「お兄ちゃんを殺したのは廃絶。だけど、私は昔お兄ちゃんについて行って廃絶に会った時のこと思い出して、そんなことする人じゃなかったはずって思ったの。きっと何かあるんだよ。それを探ってどうにかして、元の廃絶に戻って欲しいって思ってる。廃絶苦しそうだったんだよ。」
「うん。湯地も廃絶も助けよう!」
「うん!絶対に助ける!」
2人の心にもう迷いはなかった。
澄み切った空のように晴れやかで美しいその表情はまるで、あの頃の響と廃絶のようだった。
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