第7話 私の居場所
(まさか都が初代リーダーの妹だったなんて。だからあんなに詳しかったのか。次会う時もいつも通りの感じで会えるといいけど…)
冥利神社を後にした美波は頭の中で先程起きたの出来事を思い出していた。
「美波。さっきあの場所にいたよね?」
(この声は、都!?)
振り返るとやはり都が居た。
「ごめんね。約束破っちゃって。」
「いいよ。美波は気になり出すと止められないことぐらいわかってるよ。だから私はあそこに向かったの。」
「えっ??」
「私は美波にずっと言い出せずにいたの。私のお兄ちゃんが初代リーダーだってことを。言い出すタイミング、見失っちゃってさ。だからあの場所に行こうって思ったの。」
サァァ
さっきまで無かった風が美波の頬に触れた。
「そうだったんだ。やっぱりお兄さんが初代リーダーだったんだね。」
「うん。」
「私が言い出しにくい環境作ってたのかも。ごめんね。」
「それは違うよ!私が言い出せなかっただけなの!」
「そうなんだ。とりあえず歩こっか。」
そう言って美波は笑顔を振りまいた。
「ねぇ。私が湯地のことが好きって話した時のこと覚えてる?」
美波は懐かしそうに話した。
「もちろん。覚えてるよ。」
「私はあの時、好きな人が出来たのも初めてだし、好きな人のことを誰かに話したのも初めてだったんだ。」
「そうなんだ。」
「都になら話していいって、信じられるって思ったから話したんだよ。」
「そうなんだ。嬉しい。」
都は暖かい笑顔を浮かべた。
「都は私にとって親友で大切な人。信じられる人。だから、全部受け止める。」
美波は立ち止まってまっすぐ都を見つめた。
「本音、ぶつけ合おうよ。」
都の心がグッと何かを掴んだ。
今まで本音をぶつけ合う場所なんて無かった。
美波のことは親友と思っていたが思ったことを全部口には出せなかった。
そうか…これが…ここが…
居場所なんだ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます