ミュージアムの魔法使い
水無 月
前編
日焼けの残る杏士の
体つきのよさと長身で、
夏の終わりに、杏士はパイロットになる夢を
少し前の杏士なら、
けれど今は、季節の
窓に広がる
杏士の
棚に
流れる映像は、アニメやドラマ、動物もののドキュメンタリーなど
キャットウォークや
杏士は自然と
「館長、起きてください!
言葉が
杏士は
再び、杏士は声を張り上げた。
「館長! 起きたんですか!」
自分の声だけが、
杏士が
このミュージアムには
その六階に、当館の館長が住んでいる。
……そう、六階。
杏士は
『当館は、
魔法を他言してはならない。
イベント
「子どもは
けれど、次の
杏士のサイン入りの書面が、
タネの分からないマジックのように、書面はひとりでに
それは紙飛行機へと
見たこともないマーク。
『
『館長』という
「
彼と顔を合わせた時、杏士は吹き出す。
青年もとい館長は、杏士が笑う理由に気が付いたのか、
今度は照れたように笑うと、館長は軽く
すでに髭はなく、彼は口を
「契約は守ってもらうよ、銀川くん」
杏士は、出口を見つけた気分だった。
「『魔法使い』って、本当ですか?」
『魔法』が事実ならば、目の前にいる男が、何者だろうが関係ない。
館長は目を丸くしている。
「……僕の話、聞いてたぁ? 僕は魔法使いだよ!」
彼は
杏士は
「傷も、
「まだ疑ってるの? だから、僕は魔法使いだってば!」
彼は再び、頬を膨らませた。
杏士は
「治せるんですね?」
館長は
「僕にできないことは、ないよ!」
杏士は息を
「治して、ください」
(また、
杏士は強く目を
「銀川くん。その願いは、君にとって本当に大切なことなの?」
館長の
杏士が頭を上げると、当の館長は
「ふぃんふぁふぁふん、しぇふぁふぃっふぇふぇ……」
杏士はこめかみを指で
「すみません。分かりかねます」
館長は
「銀川くん、『世界』ってね、
彼は言い終えると、何かが
「僕もね、人間界にこんなに
次に紙コップを手にした彼は、
「この組み合わせ、最高だよねぇ」
館長は
「よく考えてみて。君にとって、何が一番大切なのかを」
館長は再び青い瞳を瞬いた。
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