第7話

「何もない部屋だけどどうぞ。」


食後、ニヤニヤ気味の悪い笑みを浮かべる姉に送り出されて俺は優斗さんと一緒に優斗さんの部屋へとやってきた。


優斗さんが初めて俺を抱いた時は俺の部屋だったし、昨日もリビング。


ここに来てから優斗さんの部屋に入るのは初めてだ。


優斗さんの部屋はひどく片付いていて、薄い青色基調の家具たちが目に優しい。


(って、うわ!すっご。巨大なパンダいる。)


そのパンダの腕の中にすっぽりと俺が収まりそうなサイズのぬいぐるみだ。


ちょっとかわいいなんて思ってしまう。


「それで、俺に見せたいものって何かな?」


見せたいものがあるといっているのになぜか俺と距離を取って問いかけてくる優斗さん。


なんでわざわざ見せにくい距離感を取っているのだろうか。


(まぁなんでもいいか。)


そう思いながら俺は昼休みに天音からもらった写真を生徒手帳から取り出した。


でもまず見せるのは俺の写真じゃない。


「えっと、天音が写真部の子にヌード写真の被写体頼まれて撮った写真を渡されたんだ。」


「え、それ、俺が見てもいいのかな?」


うん、そう思っても仕方ないと思う。


というか何故男が男のヌード写真を見せられるのだろうと疑問に思っているはずだ。


だけど優斗さんは俺が差し出した写真を受け取り、その写真を見つめだした。


「へぇ……綺麗に取れてるね。なんだろう、天音は体つきがいいからすごく芸術みたいだね。」


まるで子の晴れ姿でも見るかのように見る優斗さん。


確かに天音の体つきは筋肉も程よく会って引き締まっていて、身内のひいき目なしにしても綺麗だと思うから芸術みたいという反応はわからなくもない。


だけど……


(やばい、間違えたかも。この後に貧弱な俺の裸の写真出しづらい……。)


反応の比較をしなければいけないのにひどく出しづらい。


でも出さなければ比較ができない。


と、思うけどやっぱりあからさまにがっかりしたような反応でも取られたらと思うと少し怖い。


俺は天音みたいに誇れる体つきじゃないし……。


(と、とりあえずこうなったら……!)


「あ、あの、優斗さん。その写真と別に、俺の裸の写真もあるんだけど、その……み、みた―――――――」


「見せて!!!」


見たいとか思うかを聞こうとした俺。


そんな俺と少し離れた場所にいたはずの優斗さんはいつの間にか俺との距離を詰め、目をキラキラさせて食い気味で写真の提示を求めてくる。


本当、すごい食いつきだ。


「で、でも、その、もう二回も見てるし知ってるだろうけど俺は全然褒められた体系じゃないし、本当にみた――――――」


「見たい!!!!!!!」


俺の言葉を遮りさらに食い気味で写真の提示を求めてくる優斗さん。


こんなふうに言われたら自身もないし恥ずかしいけど見せてもいいかなって気になってくる。


俺は恥ずかしさを押し殺して写真を見せた。


その瞬間だった。


「はぁはぁ……ヤバイ。可愛いお尻に細い腰。恥ずかしがってる顔もかわいいけど気づいてない感じのこの表情。何度見てもやっぱり蓮君は可愛すぎる!!あぁもう駄目だ、すごく抱きたい!!!!」


俺の写真を手に取った瞬間荒々しい息を吐きながらひどく興奮した様子を見せる優斗さん。


なんだろう、このひどく変態臭い感じは。


こんな優斗さんを俺は初めて見た気がする。


「あ、あの、優斗さん……?」


あまりにも何時もの温厚で小動物みたいな優斗さんとはかけ離れすぎていて本当に目の前にいるのは優斗さんだろうかと疑問に思いついつい声をかけてしまう俺。


するとそんな俺の困惑に気づいてか優斗さんは俺の方へと振り向くと顔色を悪くした。


「あ……いや……あの、これは……。」


ひどく青ざめた表情で目を泳がす優斗さん。


そんな優斗さんが俺の裸の写真をそろっと胸ポケットにしまい込む。


「あの、すみません。こっそりその写真しまわないでください。」


普通に返してほしい。


恥ずかしいから。


「あ、あの、返すのは天音のだけじゃダメ……かな……。」


「いや、それはちょっと……。」


どちらかといえば天音のヌードはどうでもいい。


責めてもらうならそっちにしてほしいものだ。


「お願いだ、蓮君!この写真はこの間小春に奪われてしまってもう持ってないんだよ!」


「……は?」


返したくないと胸ポケットにしまい込んで出さない優斗さんはまさかの発言で俺を驚かせてくる。


すると何だろうか。


天音に3万出したのは優斗さんで、しかもその購入した写真は今姉さんが持っていると……?


「あの、優斗さん。なんで俺の裸写真なんて買ったの?」


「…………。」


先程までは問いかければすぐに返答を返してくれていた優斗さんだが、今度ばかりは俺の問いかけに黙り込む。


だけどこれだけは俺も聞きたい。


本当に何で俺の裸写真なんて買ったんだろうか。


しかも写真にしては高値で。


「女性の裸の写真ならまだしも、なんでまた俺の裸写真なんて……。」


男なら欲しいと思うのはそっちだと思う。


俺もどちらかといえばそっちが欲しい。


まぁとはいえこんな誰かからかったりはしないけど。


「……一般的に女性の裸写真を男はどういう意図で持つと思う?」


「え?……そ、そりゃ、一人でやるときのおかず用に……?」


なんとなく思いつくことを言葉にしてみるけど言葉にした瞬間違うかもしれないと少し思う。


単純に好きな人の写真が欲しいからかもしれない。


いや、でもそうだと裸である必要もないけど、でも裸かそうじゃない写真なら裸のほうがいいのか?


なんて一人で考えていると優斗さんが静かに口を開いた。


「蓮君、気持ち悪いかもしれないけどそういう理由だよ……。」


「え?そういう…………?」


そういうってなんだ?といろいろ考えすぎていたせいで一瞬解らなくなる。


だけどそれは本当に一瞬で、最後に自分が言った言葉を思い出すとどういう意味かおのずと分かってきた。


つまり、つまりだ……。


「優斗さんは俺をその……お、おか、おか、おかず……に……。」


自分で言うのがひどく恥ずかしいけど事実確認がしたくて問いかける。


すると俺の問いに優斗さんは静かにうなづいた。


それを見た瞬間顔から火が出そうなくらい顔が熱くなった。


そんなの、そんなの――――――


「ほ、本当に俺の事、好きみたいじゃん。」


弟がかわいくてたまらないとか、可愛いから撫でまわしたいとかそういうレベルの話じゃなくて、性的な対象としてみて、性的な思いを抱く方の好きってことがはっきりとわかる反応。


胸がひどくドキドキしてうるさいし苦しい。


だけどくすぐったくて、満たされた気持ちになってくる。


(ど、どうしよう……すごくうれしい。)


ここまでだれかに思われたことがない俺は今俺の前でひどく顔を赤くして、俺を見つめてくる優斗さんが本当に突然、お兄さん的な人じゃなくて愛しい人に思えてくる。


俺は馬鹿で単純だから、そんな、そんなふうに思われたら……――――――


「優斗さん、写真は返して。その代わりいくらでも本物、見ていいから。」


俺は顔を真っ赤にしている優斗さんに近づき、抱き着いた。


本当に僕は淫乱なのかもしれない。


今、優斗さんに抱かれたい。


そんな事を思っているからか優斗さんは俺が物欲しそうだとでも思ったのかまずはいつもの気持ちいいキスをしてくる。


優斗さんに対して性的な感情が芽生えたからなのか俺はいつも以上に何の気兼ねもなく優斗さんを求めてしまう。


もっと、もっと優斗さんと唇を重ねたい。


だけどそんな僕にキスのお預けをくらわせるかのように優斗さんは僕の唇から自分の唇を離し、僕の服を脱がし始めた。


でもじれったいことにすぐには脱がせてくれない。


まず三つくらいボタンを外したかと思うと首筋の皮膚を吸い上げ、今度は乳房を吸い上げてくる。


中々脱がせてくれないじれったさも相まってかこの先を期待する俺に与えられたその刺激は俺の身体をひどく疼かせる。


しかもその次はボタンを全部外すのではなくて俺のズボンを軽く脱がせては俺の乳房を吸いながら俺のお尻に指を突っ込んでくる優斗さん。


「い、いっぺんにはむ、無理っ……。」


色々なところから感じさせられると本当にわけが分からなくなる。


だけどいつも優しい優斗さんは今日は少し意地悪で、今度は俺の性器を口にくわえながら俺のお尻をいじってくる。


そんな優斗さんの行為を膝をついた状態で立つ俺は必死に優斗さんの肩を掴んで耐える。


優斗さんの口の中が熱くて、当たる息がこそばゆくて、その上吸われているのが恥ずかしいのにそこだけじゃなくてかき回されてるのも気持ちよくてもう今にも俺は崩れ落ちそうだ。


なんて思ってるうちに強い快楽に慣れていない俺は優斗さんの口の中に俺のを出してしまう。


「ご、ごめ、優斗さ――――――――んっ。」


謝ろうとした瞬間、俺の性器が先程よりも強く吸われる。


全然口を離さない優斗さん。


まさか、まさかとは思うけど……


「の、飲んだ……?」


恐る恐る問いかけると優斗さんはゆっくりと口を離していく。


そして、荒い息を吐きながら笑みを浮かべると


「うん、ご馳走様。」


ひどく恥ずかしくなるようなセリフを言ってきた。


そのセリフが恥ずかしくて俺は優斗さんから素早く視線を外す。


すると今度はまだはずされていないボタンがはずされ、へそをなめて、吸われる。


「ゆ、優斗さ……」


あまりにもこそばゆくって身をよじる。


でも身をよじることで俺の中にある優斗さんの指が俺のさらに奥に入ってきていいところに当たる。


(駄目だ、本当に、おかしくなるっ…………。)


俺はどんどんどんどん与えられる快楽に溺れていく。


ただただ気持ちよくて何も考えられなくなる。


「好きだよ、蓮。愛してる。」


快楽に溺れてる俺の耳元で優斗さんが熱い息を吹きかけながらささやいてくる。


もう何が何だかわからないほど快楽に覚えれてる俺は――――――


「俺も好き。優斗さんが好きだよ。」


今の気持ちをただただ素直に口にした。

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