第9話なんであなたこんな時間に

 妊婦さんから赤ちゃんが無事に生まれると看護師さんから「元気な男の子でしたよ」 といわれた。

 すごいおめでたいことなのは間違いないのだが、俺の子じゃないんだけど。

 少し経つと本当の父親が遅れて現れたので、奥さんが道端で陣痛がきて付き添ったことを伝え、俺は病院を後にした。


 学校に向かってる途中突然激しい雨が降り出した。

 短時間だけしか外にいなかったのに、頭から足にかけてびっちょりだ。

 屋根のあるバス停を発見したので急いでそこに向かった。


「それにしてもすごい雨ですね」

 俺の他にもすでに先客がいたらしい。

「そうですね」

 話しかけたきた人のほうをみないで、目の前で地面に雨粒が激しくうち続いてるのをみて答えた。

「今日私の息子誕生日でして」

 なんだ急に。

 まさかまたか。

 まさかまた巻き添えにする気か。

「多分私の帰りをいち早く、誰よりも待っていると思うんです」

 きいてもいないのにたんたんと話しを進めている。

「あのーいいづらいんですが、バスの運賃を貸して頂くことはできないでしょうか?」

 わけのわからない発言で思うず声の主をみてしまった。

 はい?

 いいよね。

 これは完全に心を鬼にしていいやをね。

「いやーそれはちょっと………」

「500円だけ。500円だけで大丈夫ですので」

 いやいや500円あれば普通にバス乗れちゃうんですけど。

 俺は土砂降りの中このバス停から出ようとすると「ごヒィック…ごヒィック……ごめんなお父さんふがいなくて」

 めちゃくちゃ一人で泣いていた。

 

 バスは時刻通りにお客を乗せ、俺だけを残し出発した。

 あそこまで大の大人が泣いていたらお金を貸さないわけにはいかないよな。

 雨がだいぶ小降りになったのでバス停を後にした。


 ただいまの時刻18時。

 学校にようやく着いたが、校舎には人がまばらで来る意味などなかったが、先生に直接報告して下さいといわれたので来るしかなかったのだ。


「失礼します」

 といい職員室に入ると先生が俺を手招きした。

 先生に遅れたことを話すと、今日は欠席ではなく出席扱いにしてもらった。


 職員室をでて下駄箱に向かうと今日の疲れが一瞬で吹き飛ぶ人物がそこにはいた。

 なんでこんな時間に皆藤真奈美がいるんだよ。


 さりげなく俺は1歩1歩皆藤に近付く。

 そのかんも俺の心臓はドキドキと鼓動が激しくなっていた。

 もしもここで振り向いたらどうしよう。

 また皆藤が靴を履いた瞬間、走りだしたらどうしようなどだ、

 

 俺はいよいよ皆藤の横になり下駄箱から靴を取り出した。

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1度だけでいいんで、彼女になってくれませんか てるた @teruo0310

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