第8話いったい教室に訪れないでなにをしていたんだろう

「富良野君ここの場所教えて?」

「たくしょうがねーな」

 富良野君は近付いて私の体に富良野君の体が当たる。

 その瞬間お互いは見つめ合いキス………なんてな、なんてな。

 おっと、もしも図書委員会に入ったらの妄想をしてしまった。

 やっぱりここは図書委員会にするべきか。

 いやちょっと待ってよ。


「富良野君あれ見て」

 私が指差したのは親アヒルが子供のアヒルを引き連れて歩いているところだった。

「めちゃくちゃ可愛いな。そんなアヒルよりもおまえのほうが可愛いよ」

 お互い見つめ合いキスを………なんてな、なんてな。

 こうなったら飼育委員会も捨てがたい。

 どうしよかっな。

 あー悩む。


 斉藤真帆と突然飼育委員会に名前が書かれた。

 ってことは図書委員会だけか。

 突然なんなのよ。

 まぁ私がちんたらしていたのがいけないんだけど。

 しかもこの名前って。

 富良野君の横に座っている人だ。

 羨ましい。

 ハッ。

 私は突然閃いた。

 もしも、もしも富良野君が斉藤さんと一緒になったら間違いなく恋が芽生える。

 だって席も委員会でも一緒になったら間違いないでしょ。

 それにしても富良野君全然黒板に名前を書きに来ないけどどうしたのかな?

 ちょっと気になったのでさりげなく、本当になりげなく教室全体を見回したが、富良野君の姿はどこにもなかった。

 あれ、なんで今日休みってこと。

 ショックだな。

 今日1日富良野君の顔見ないで、終わっちゃうのか。


 視線を黒板に戻すと、私の名前の横に『鎌原慎吾』と名前が書かれていた。

 え?

 ちょ………超最悪なんですけど。

 私の私の妄想を返してよ。

 昨日はめちゃくちゃ優しい人だと思ったけど、ただの悪魔だ。

 悪魔だったよ。

 ここ大事だから2回心の中でいってしまった。

 図書委員会には富良野良という文字を先生が書いていた。


 私はふらふらになりながら自分の席に戻ると、鎌原君が……いや悪魔が私に親指をピンと立ててきた。

 私は当然返す気にもなれず、机に突っ伏した。


 今日も授業という授業はやらずに学校での規則やらを説明するだけだった。

 私はよほどショックだったので今だに突っ伏していたら、なにやら柔らかい感触がほっぺたに当たった。


「元気ないよ?」

 顔を上げると鎌原が私の顔にぬいぐるみを押し当てていた。

「そんなことはないです。ただ、ちょっとショックのことがあっだけです」

 目の前の悪魔のせいだとは言えないけどね。

「よかったらこれあげるよ。その嫌な気持ちを和らいでくれるかも知れないよ」

 鎌原はクマのぬいぐるみだけ置いて帰っていった。

 私もそろそろ家に帰ろっと。


 下駄箱で靴を履き替えていると、遅れて私の隣で下駄箱を履き替えている人がいた。

 私の視界に完全にその人が入ると、富良野君だった。

 いったい教室に訪れないでなにをしていたんだろう。

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