第7話学校までの距離が遠く感じるのはなぜだ。

 窓の隙間から太陽の日差しに照らされて俺はようやく目が覚めた。

 昨日の反省をして、今日こそは必ず必ず声をかけると誓い、リビングのテレビがついていたのでふとみた。

 ちょうど昨日のニュースが終わると占いコーナーに突入していた。


『ふたご座のあなたの今日の運勢最悪です。なにかしようとしても空回りするし、今日はなるべく外出は控えて家で待機することをおすすめします。ちなみにラッキーアイテムはくまのぬいぐるみです』


 やべーよ。

 ドンピシャで俺の星座だよ。

 なに今日死ぬの。

 俺今日死ぬのかな。


「行って来まーす」

 運勢最悪を吹き飛ばす位の大きな声で俺は家をでた。


 それにしても今日天気悪すぎだろ。

 空をみたらドンより曇っていて、今にも降りそうなことは間違いなしだ。


「とれない。とれないよ」

 公園を横切ろうとしたら、小さな子ども達がバドミントンをしていたらしく、木の枝にバドミントンの羽根が引っかかっていてとれないでいた。

 別にいいよね。

 俺関係ないし。

 心を鬼にして横切ろう決めたら「とれないよ。誰か誰か」


「このへんか?」

 心を鬼にすることが出来ずに、俺は木に登ったていた。

「もう少し。もう少しだよ」

 手を思いっ切り伸ばして、バドミントンの羽根が引っかかてるところを探すが分からないでいた。

「このへんでいいのか?」

「そこだよ」

 バドミントンの羽根を発見したが、木の枝はもろく俺はそのまま地面に落下した。

 

 地面に尻を強打したが、怪我もしていないので普通に立てた。

 子ども達はバドミントンの羽根を手にしたらお礼も言わずにどこかに消えていった。

 携帯の時計をみたら遅刻するかどうかの瀬戸際になっていたので、俺は走り出した。


「痛い痛い痛い」

 またもや今度は公道で妊婦さんがお腹を抑えながらうずくまっていた。

 いいよね。

 さっき子ども達助けたから、今度は無視してもいいよね。

「痛い痛い痛い」


「大丈夫ですか?」

 俺は立ち止まり妊婦さんに言葉をかけていた。

「き…救急車をお願いします」

 すかさず携帯を手に持ち救急車に連絡した。

「それじゃあ俺はこれで失礼します?」

「待って下さい」

 と言われなぜか手首を掴まれた。

「あのー俺学校があるんでこれ以上は?」

 妊婦さんは俺の話しなどきいておらず、痛みとたたかっていた。


 少し経つと遠くからでもわかるぐらいの、救急車特有のサイレンの音がきこえた。

 救急隊員は手際よく妊婦さんをストレッチャーにのせ、救急車の中に運んでいった。

「それじゃあ俺はこれで失礼します」

「あなた見捨てる気ですか?旦那さんでしょ」

「いやいやどうみたって学生ですけど」

 そんなことお構いなしに救急車にのせられた。

 これは完全に遅刻だな。

 今日はなぜか学校までの距離が遠く感じるのはなぜだ。

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