第4話私はあなたをただ無言のまま見つめていた
廊下に張り出された教室の座席を見ると1番前で出入り口に近いところが私の席になっていた。
うわー最悪。
対して私の思い人の
うわーーー超最悪。
私と真逆の席じゃん。
これじゃあ授業中見ること出来ないじゃん。
うわーーーマジしょっく。
こうなったら富良野君が教室に入って来た時に見るしかないでしょ。
指定された席に座り教室の扉が開く音がすると、条件反射をしてしまうように見てしまう。
1人、1人と席が埋まっていくと、そろそろ富良野君が来てもおかしくない状況だ。
『ガラガラ』
と扉が開くと富良野君と目があった。
その瞬間中学高卒業のことを思いだしてしまった。
あーなんで私はあの時、悪い態度をとってしまったのか。
富良野君は私から目を離し自分の席に向かってしまった。
その間も私はあなたをただ無言で見つめていたけど。
でも私がこのクラスで席が1番前だと、富良野君に分かってもらっただけでもよしとしよう。
先生から始業式があるから横にいる人と並んで向かってくれっていうから、富良野君がどんな人と一緒なのか気になったけど、私が1番前だから見ることは出来なかった。
やっぱりやだなーこの席。
始業式から戻って来てしばらく経つと先生から自己紹介をすると言われ、窓側の席の1番前の人とジャンケンしたら負けてしまったので私からになってしまった。
1番最初の自己紹介ってみんなから注目されるから1番嫌なんだよね。
まぁ富良野君が1番最後だからめちゃくちゃ見れるからよかったけど。
私は席を立ち後ろを向いて自己紹介をしながら富良野君を見ると、私を見ないでまわりをキョロキョロしていた。
ま………まさかすでに好きな人とか出来てないよね。
それか私の悪い態度をやっぱり気にしていて、もうお前の顔なんて見たくないってことかな。
私はがっくりと肩を落として座った。
「大丈夫だったよ?」
横の人が私の自己紹介が失敗していないことを気遣って優しい言葉をくれたみたいだ。
「あ、ありがとうございます」
「
今鎌原さんの自己紹介が終わったみたいだ。
自分の番がもう少しで来るから緊張で人のことなど考えられる余裕もないのに私を気遣ってくれるなんて本当に優しい人だ。
しかも顔も端正な顔立ちをしていて格好いい。
並の女子なら鎌原さんに惚れるところだけど、私は富良野君がいるからごめんなさいだ。
いよいよ富良野君の番が来て席を立ち上がった。
私は目線を富良野君に凝視した。
あれ中々喋らないけどなんで。
さっき横の斎藤さんを長く見ていた気がしたけど、まさか斎藤さんが好きだから緊張して喋れないとか。
まさか………ね。
私はその間もずっと富良野君を直視していた。
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