学究ノート#2

しゔや りふかふ

学究ノート#2

 色即是空空即是色。死は生と変わらず、生は死と変わらない。

 死せば、実存に於いては無の概念すら絶し、無の想い、無の感覚も途絶える。絶空である。それは実在の生である。

 実在に於いて、実存に於ける我らの生、すなわち諸概念は空疎だ。一切の説明は究竟に於いて同義反復しか言えず、結果として、諸考概のすべては経緯のない、唐突でしかない。諸感覚も、色彩と同じだ。実在ではない。観察される諸々の事象の特性(=分別)もまた、ニューロンにおける電気的な発火現象という、無味乾燥なただの事実であり、可否真贋もない絶空である。実在は絶空である。実存に於ける有は絶空である。

 死は生であり(それほどの絶空である)、生(実存者の考概・感覚)も実在に於いては死に若かず。


 

註釈


 実存  

  実在ではないが、人にとって現実である事象。

 実在  

  客観的な事象。

 絶空 

  空をすらも絶す。或る意味で有。

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