第16話 生産ギルドは大混雑
北湖ダンジョンの第4層で鉄鉱石を30個、高品質鉄鉱石を15個集めるあいだに、私の採掘家レベルは18にまで上がっていた。
その場では面倒にさえ思ったけれど、ゴブリンファイターとゴブリンメイジがゾロゾロと出てきたおかげで、スカウターのほうもレベルが27になっている。
目標にしていた北湖ダンジョンの第4層までやってきたわけだし、鉄鉱石も十分な量を採掘したところでバイタルアラートが出たから地上に戻った。
ダンジョン第四層は薄暗い場所だったので、北湖ダンジョンの入口に立つと、目を開くのが辛いほど眩しい。
いったん、ログアウトして用を済ませて戻ってくると、北湖ダンジョン入口で辺りを見渡してみる。
北湖のダンジョン周辺で釣りをする人、採掘道具を手に持ってダンジョンに入ろうとしている人、単純にダンジョンを攻略しようと戦闘職の装備に身を固めて入ろうとしている人……いろんな人たちが、集まっていた。
確か、入口のところでリリアって子からクエストを受けてアングラーさんを呼びに行ったんだよね。でも、アングラーさんが急いで戻っていったことだし、この辺りにいるはずはないかな。確か、2人は漁師のアンガーさんの子どもなんだっけ。
(ナビちゃん、クエストの受注状況を教えてくれる?)
《クエストの受注状況を一覧表示するのです》
種別 No. クエスト名 状態 報告先
メイン 004 北湖ダンジョンを踏破せよ 未達成 ゲイル
サブ 013 ウォーリーを探せ 未報告 テツコ
サブ 017 お兄ちゃんが帰ってこない 未報告 リリア
漁師 004 海釣りを楽しもう 未報告 デニス
採掘家 003 鉄鉱掘ってこう 未報告 アレン
採集家 003 蜂に刺されないように 未報告 コリーナ
あれ、蜂蜜の報告って……行ってなかったっけ。そういえば、ローラさんにビギナーギャザラーシリーズのセット効果を教えたせいで生産ギルドが混みあってそうだから後回しにしたんだよね。
まだまだ混みあってそうな予感がするけど、戦狼の牙刀を修理したいし、グラーノ森林地帯のMOB相手に負けない武器も欲しい。この先、より強いMOBが出てくるのは間違いないし、準備はしておきたいからね。
まずは生産ギルドに戻って、報告するところから始めようかな。
それに、スカウターの職業ギルドのほうもクエストがあるはず。職業ギルドのほうも行かないとね。
私は生産ギルドに向かうべく、ブランチポートに触れた。
軽い浮遊感を感じると、私はグラーノの町にあるポータルコアがある広場に転移した。
北湖ダンジョンの入口や、第三層でアングラーさんが立っていたところも凄い人がいたけれど、やはり町のポータルコアがある広場は更に人が多い。見える数には限界があるけれど、ワイワイ、ガヤガヤと聞こえてくるプレイヤーたちの喧騒はこの場所が一番大きいんだよね。
(ん、ナビちゃん。マップに表示されている黄色い点はなあに?)
生産ギルドに1つだけポツンと黄色い点が表示されていた。
階層まではわからないけれど、建物の構造から考えると鍛冶師ギルドかな。
私はその黄色い点が光る生産ギルドのほうへと向かって歩き出す。
《数少ないアオイのフレンドなのです》
(いや、否定はしないけどさ……)
現時点でフレンド登録されているのは、ノア君だけ。
こうして、フレンド登録しているプレイヤーがどこにいるかマップに表示されるとなると、ローラさんのフレンド登録はないかな。
いや、いい人だとは思うんだけど、追いかけてきそうだしね。
(でもまあ、少しフレンドを増やしてもいいかな)
《アオイにはナビちゃんがいるのです》
(そうだね。でも、イベントとか始まるとフレンドがいた方が都合がいいこともあるんじゃない?)
《パーティ制のイベントはないのですよ》
(そうだっけ?)
でも、なにかを探す系のイベント――例えば、風の精霊ヴェンタスのイベントは、ヒントをベースに3か所の写真を撮ってくるという内容なんだよね。だから、独りで考えるよりは数名でいいから集まって考えたほうがいいと思う。3人寄れば文殊の知恵って言うし。
確か、ノア君は男子3人組のパーティで、全員同じハンディキャップを持っているって言ってたよね。手っ取り早く4人目に加えてもらえるなら楽なんだけど、どうだろう。既にレベルキャップが見えてきた私のような高レベルプレイヤーと一緒に遊んでもらえるかな。
ゲームをプレイするうえで、ハンディキャップの有無は関係ないにしても、レベル差というのはいろいろと問題の原因になるからね。
などと考えながら歩いていると、生産ギルドに到着した。
(うわあ、すごい人……)
想像していたとおり、ギルドの中は人、人、人で溢れかえっている。人が多すぎて、生産ギルド受付のレンカさんも全然見えないよ。
基本的に視界に入る中で同時に100人くらいは同時表示されると思うんだけど、前に進むと背後にまわった人たちが消えていくんだよね。そして、逆に遠くにいる人たちが新たに表示される。
自分よりも進むのが遅い人たちをすり抜けながら追い抜くのは慣れないけれど、通路の突き当りにある採掘家ギルドへと到着した。
扉を開いて中に入っても人だらけ。
(あれ、採掘ギルドのアレンさんってどこにいたっけ?)
ドワーフで背が小さなアレンさんは大きなプレイヤーたちの身体に隠れて全然見えなかったんだよね。
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