第2話 非公開項目

 しっかりめの仮眠と食事、運動を済ませると、私はアルステラへと再度ログインした。

 ログアウト前にスカウターに職業変更しておいたので、認識阻害(弱)が働いているせいもあって周囲にいるプレイヤーたちに見つかることがない。


《おかえりなさいなのです》

(ただいま、ナビちゃん。えっと、岩塩を集めてきたから先ずやることはクエストの報告かな)

《そうなのです。料理屋のカタリナのところに行き、小麦粉とボアの肉、岩塩をそれぞれ2個ずつ納めるのですよ》

(オッケー、カタリナさんのところに行こう)

《道案内は任せるのですよ!》


 一度は行った場所というのもあって、ナビちゃんが張りきっている。

 道案内はナビちゃんに任せて、ナビちゃんに話しかける。


(ナビちゃん、プロフィールの設定って非表示にできるものすべてそうしてもらったんだよね?)

《はいなのです》

(設定画面、みせてくれる?)

《どうぞなのですよ》


 ナビちゃんの返事とともに、視界にプロフィールの設定画面が表示された。

 キャラクター名、種族、性別、職業、レベルは表示が必須になってるみたいだね。まあ、当然といえば当然かな。

 あと、非表示項目は現在の装備、所有スキル、使用可能な魔法の一覧、アチーブメントっていうのもある。


(アチーブメントってなあに?)

《実力や実績を書き記したものなのです。たとえば、最初のクエスト「門番パウルの初心者指導」をクリアすると「駆け出し冒険者」というのが与えられるのです。「商人が来ない」をクリアすると「ナツィオ商人たちの恩人」がもらえるのですよ》

(へえ、でもそれって何のメリットがあるの?)

《王都の冒険者ギルドでミニコインに交換できるのです。ミニコインの枚数に応じてアイテムを手に入れることができるのですよ》

(ふうん、クエストをしていればアチーブメントがもらえるの?)


 ナビちゃんが説明してくれたのは、クエストばかりだもんね。


《生産職の各手帳でももらえるのです。あと、ダンジョンの到達深度やマップの開放度などでももらえるのですよ》

(いろんな要素があるんだね)


 なにかと交換するためのアイテムになるって言うんだから、たくさんある方がいいんだろうね。私はいまどれくらいの数のアチーブメントが貰えてるのかな。


 アチーブメント数が表示されているので確認をすると、既に182件のアチーブメントをクリアしていた。最低でも182枚のミニコインがもらえるってことだね。


 ナビちゃんと話をしながらだと、すぐに時間が過ぎてしまう。

 あっという間にカタリナが経営する料理屋に到着した。


《クエスト「料理の材料集め」を達成したのです。

 5,000リーネを入手したのです》 


 カテリナさんに小麦粉とボアの肉、岩塩(高)を2個ずつ手渡そうとすると、《高品質アイテムを渡そうとしているのです。報酬に変化はないので一般品質のものを出せばいいのですよ》と、言われた。


 無事カタリナから報酬をもらった私は、店を出てナビちゃんにたずねることにした。


(高品質って何のためにあるの?)

《クラフターとして何かを生産するときに、高品質な素材を使うと失敗が少なくなるのです》


 なるほど、私たちプレイヤーにとっては必要な高品質素材だけど、NPCには必要のない素材ってことなんだね。

 自分が鍛冶や魔道具師をするうえでは、逆に高品質素材が大切になってくるってことだね。


(残ったクエストはなんだっけ?)

《現在受注しているクエストなのです》


  種別  No. クエスト名        状態   報告先

  メイン 004 北湖ダンジョンを踏破せよ 未達成  ゲイル


  サブ  013 ウォーリーを探せ     未達成  テツコ

  サブ  014 風に舞った手紙      未達成  ボルタ―

  サブ  015 町の地図更新       未達成  ジオ

  サブ  016 やっぱり肉でしょう    未達成  アンガー

  サブ  017 <未受注>


  漁師  004 海釣りを楽しもう     未達成  デニス

  採掘家 003 鉄鉱掘ってこう      未達成  アレン

  採集家 003 蜂に刺されないように   未達成  コリーナ


《サブクエストだと、風に舞った手紙、町の地図更新は報告を残すだけなのです。やっぱり肉でしょうも手持ちのドードの肉を渡すだけで完了するのですよ》

(そうなんだね。じゃあ、手早く済ますとしましょうか。一番、効率がいい順番に案内お願いね)

《はいなのです!》


 ナビちゃんに案内をお願いして、私は再びナビちゃんと話をする。さっきは、アチーブメントの話だったけど、今度は他の非公開項目についてたずねることにしようかな。


(公開しておくほうがいい、プロフィール項目ってある?)

《パーティ募集をするときには取得スキルや魔法は公開するといいのです。でもボッチなアオイには必要ないのですよ》

(いや、私だってパーティ組むかも知れないじゃない)

《それまでは必要ないのです》

(ま、まあ、そうだけど……)


 私も好きでソロ活動しているわけじゃないんだよ。ログインしたときから誰かと一緒に行動する機会がなかっただけで、同じくらいのレベル帯の人と一緒にボス戦するとかあるかも知れないんだからね。


 私はランキングを開いて、今の他プレイヤーの状況を確認する。

 TOPはレベル24で私。完全に独走している感じで、2位以降はレベル18が並んでいる感じだね。

 皆が追い付いてくるまでの間、のんびりしようかな。

 戦狼の牙刀も少し傷んだことだし、修理するためにもクラフターをそろそろ始めるといいかも知れない。私がクラフターをしている間に、2位集団のプレイヤーが追い付いてくれれば、パーティプレイも楽しめそう。

 それに、新しいナイフも打ちたいし、クラフターを頑張ることにしましょうか。


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