第14話 ダンジョン第2層
装備の可愛さに俄然やる気がでてきた私は、現時点で受注しているクエストを確認することにした。どのクエストで何が足りないのか、再確認したいからね。
(ナビちゃん、グラーノのクエストの一覧って見れる?)
《もちろんなのです。どうぞなのですよ》
視界に半透明のウインドウが開き、そこに受注済みのクエストが一覧で表示された。
No. クエスト名 状態 報告先
010 忘れてはいけない 達成 グッドマン
011 憎きパペットベア 達成 アニタ
014 グラーノの地図更新 未達成 ジオ
015 風に舞った手紙 未達成 ボルタ―
016 やっぱり肉でしょう 未達成 アンガー
018 料理の材料集め 未達成 カタリナ
019 ホバーコアを手に入れろ 未達成 サブ
クエスト番号からするに、まだ3つも受けてないのがあるね。
《グラーノの地図更新は西地区と居住区が終っていないのです。風に舞った手紙は裁縫ギルドのシモーネ、神官のラース、ファイターギルドのゲオルグへの配達がまだなのですよ》
(うん、アンガーのドードの肉と、カタリナのボアの肉、岩塩が揃ってないんだっけ?)
《ドードの肉はタイニードードの肉でも同じ、ボアの肉はレッサーボアの肉でも同じなのです》
(じゃあ、手持ちにある肉を渡せばよかったのね)
冒険者手帳をクリアするためにタイニードード、レッサーボアの両方を必要数倒しているから肉も手に入れているんだよね。
《そのとおりなのです》
(でもまあ、他のクエストを見つけた方が良さそうね)
アニタのクエストではクマの人形と小麦粉を交換できたからね。同じように不足する素材を他のクエストで交換することで条件クリアするのがあるかも知れないからね。
《そうかも知れないのです》
(ナビちゃんも全部話すわけにいかないからね、わかってるよ。でもなあ……)
先に、ビギナーギャザラー装備を全部揃えたい、という気持ちもあるんだよね。どっちにしようかな。確か、残っているのは採掘家レベル5の亜鉛鉱と錫鉱のクエスト、採集家レベル1の薬草採集クエストと、その先にあるレベル5のクエストのはず。
採掘家レベル5のクエストはダンジョン第2層で採集するって言ってたから、まずはダンジョン第2層に行くことにしましょう。
私はすぐにポータルコアに移動し、北湖ダンジョン前のブランチポートに転移した。
ダンジョン第1層で数頭のゴブリンを倒しながら奥へと進むと、前回で銅鉱石を掘った広い空間に出た。こういうとき、右を選ぶか、左を選ぶかでとても悩ましいよね。
遠回りになるけれど、「右手か左手が常に壁についた状態で進むと、いずれは出口に出られる」なんて言うから、私は左手をついて先に進むことにした。つまり、今回は左の道を選んだ。左の道は50ⅿほどで行き止まりになっていた。他のゲームなら宝箱とかありそうな場所だったのだけど、何もなかった。残念だね。
元の広い部屋に戻り、右の道に行くとまたゴブリンたちが出てくるようになった。2匹、3匹などの組み合わせで襲って来るけど何も問題なく前に進むと、40分ほどしたところで第2層に下りる階段を見つけた。
階段から出ると、ポータルコアを小さくしたような石があった。ポータルコアは白い光が中で渦巻くように動いていたけど、この石には何もみあたらない。
(ナビちゃん、これは何か知ってる?)
《フロアポートなのです。ここに魔力を流し込むと、ダンジョン入口にあったブランチポートとの間を行き来できるようになるのですよ》
(へえ、フロアポートに触って魔力を流すのね?)
《そのとおりなのです》
ナビちゃんが言ったとおり、私はフロアポートに手を置いみた。すると、特に魔力を流し込む意識をせずとも、魔力が吸いだされ、フロアポートが青白く輝き始めた。
《完了したのです。これで簡単に出入口に戻れるのですよ》
(ありがとうね)
ナビちゃんにお礼を言うと、私は第2層の様子を確認すべく周囲へと目をやった。
第2層も第1層と同じ洞窟になっていた。
薄暗く光る壁や天井の雰囲気は第1層と本当に変わらない。穴の大きさも同じくらい。
「ゴキャッ!!」
「ゴギャゴギャッ」
出てくるモンスターも同じゴブリンだけど、1匹だけ手持ちの武器が棍棒から刃こぼれだらけのショートソードになっている。見た目も他のゴブリンと比べるとお腹のふくらみが小さい気がする。
(あいつは?)
《ゴブリンリーダーなのです》
(変異種、ってほどでもないよね)
《他のゴブリンよりは強いのですよ》
(へえ)
別に舐めているわけじゃなく、ただどのように戦うかを私は考えていた。
先にゴブリンリーダーを倒すべきか、雑魚ゴブリンを倒すべきか。
「ゴギャゴギャ!!」
何を言っているか全然わからないけれど、今のひと言でゴブリンリーダーが他のゴブリンに指示をだしたようで、雑魚ゴブリンが2匹同時に私へと襲い掛かってきた。
私は簡単にそれを避けると、戦狼の牙刀で1匹の首を刎ね、2匹目の攻撃をさらりとかわして延髄にスチールダガーを突き立てた。
一瞬で2匹がポリゴンになって消えると、ゴブリンリーダーだけがそこに残った。
「ゴギゴギャッ!」
やっぱり何を言っているのかわからないけれど、ゴブリンリーダーにとっては
ゆっくりと錆と刃こぼれだらけの剣が振り下ろされる。それを左手のスチールダガーで受け流すと簡単にゴブリンリーダーの体勢が崩れた。このチャンスを見逃すことなく、私は右手の戦狼の牙刀で首筋を切りつけ、背中にスチールダガーを突き刺す。
《ゴブリンリーダーたちを倒したのです
冒険者手帳「北湖ダンジョン」ゴブリンリーダー討伐数(1/5)になったのです。
ゴブリンの魔石×2を入手したのです。
ゴブリンリーダーの魔石×1を入手したのです。
ボロボロの銅剣×1を入手したのです。
ゴブリンの棍棒×1を入手したのです。
ゴブリンの腰蓑×2を入手したのですよ》
ゴブリンリーダーといっても、思ったほど強くなかった。
その後もゴブリンの群れと接敵したけど、ゴブリン2匹だけのときと、ゴブリン2匹とゴブリンリーダーの組み合わせがあった。たぶん、2層の場合は3匹目でゴブリンリーダーが共に行動する感じなのかな。
また左手を頼りに洞窟を進んでいくと、明らかに壁に穴が開いていた。
(ここ、怪しいよね?)
《採掘できる場所かも知れないのです》
(じゃあ、採掘してみるから装備の変更をお願いね)
《はいなのですっ》
ナビちゃんが返事するのが早いか、装備一式がビギナーギャザラー装備と初級採掘家キットに入っていたピックに変わった。
実際にビギナーギャザラーセットにしてみて思うけど、長袖と長ズボン、鉄板入りの安全靴って安心感があるね。
装備変更とともに、視界の中にいくつかの採掘スポットらしき光が見えた。
とりあえず、手身近なところにピックを振り下ろす。
「カキンッ! カキンッ!」
ピックの先が岩にあたるたびに金属音が響く。この音に誘われてまたゴブリンリーダーたちが来る可能性もあるよね。
《日長石を入手したのです。
採掘手帳No.5「日長石」が解放されたのです。
日長石を入手したのです》
私は手を止めると、インベントリに自動収納された日長石を取り出し、ぼんやりと光る壁に翳して鑑定してみる。
<鑑定>
名前:日長石
説明:透明又は不透明の紅色をした結晶。サンストーンや
ヘリオライトとも呼ばれる
品質:並
(あ、宝石の原石なんだ)
《彫金師になれば装飾品をつくることができるのです》
(じゃあ、もう少し必要だね)
他にも瑠璃原石――ラピスラズリが掘れた。
もちろん、採掘家のレベルも上がり、レベル10になった。
「……ゴギャギャギャッ!!」
ただ、やはり採掘の音が洞窟内に響くせいで遠くにいるゴブリンたちが気付いてやってくる。
そのたびに私はスカウター装備に着替えて、ゴブリンたちを迎え撃った。
《ゴブリンリーダーたちを倒したのです。
冒険者手帳「北湖ダンジョン」ゴブリンリーダー(5/5)を達成したのです。
ゴブリンリーダーの魔石×1を入手したのです。
ボロボロの銅剣×1を入手したのです。
ゴブリンの棍棒×1を入手したのです。
ゴブリンの腰蓑×2を入手したのですよ》
冒険者手帳のゴブリンリーダーの課題も終わった。でも、戦闘職の方はレベルが上がりにくくなっているね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます