第14話 両親の帰りを待つ少女

(ナビちゃん、ステータスを見せてくれる?)

《はいなのです。ステータスを表示するのです!》


  名前:アオイ

  種族:ハーフリング(女)

  職業:スカウター

  レベル:8 (↑7)

  ステータス:

   HP:102

   MP:94

   STR(力):15(↑10)

   VIT(体力):32 (↑18)(+10)

   AGI(敏捷):91(↑41)(+20)

   DEX(器用):71(↑34)

   INT(知力):69(↑33)

   MND(信仰):41(↑18)(+10)

  加護:火精霊の加護、風精霊の加護

  スキル:簡易鑑定、インベントリ、マップ

      索敵、罠察知

      ナイフスキル スローイング

  魔法:テレポ


《矢印のあとの部分が初期ステータスとの差異なのです。HPとMPは装備補正により比較できないので差異は表示されていないのですよ》

(この括弧の中の数字はなに?)

《装備補正値なのです。攻撃力や防御力に対して補正されるものと、ステータスに補正されるものがあるのですよ。ここに表示されているのはステータス補正タイプなのです》

(攻撃力に補正が入る武器防具って、私は持っていたっけ?)

《初心者のナイフが攻撃力に+10、スローイングナイフが攻撃力に+5なのです。他の所持品にはないのです》


 武器に直接ついている補正が攻撃力なのかな……よくわからないや。

 あ、ナビちゃんのステータス説明を聞いていて、動くのを忘れてた。

 えっと、あとはテオさんに手紙と地図更新の報告をして、ペーターに手紙の報告をすればいいね。


《クエスト「隠れていた配達物」が進んだのです。

 ペーターに報告に行くのです》


《クエスト「町の地図更新」を達成したのです。

 500リーネを入手したのです。

 綿の服(上下)を入手したのです》


 うーん、レベルは上がらないね。だんだん上がりにくくなってるのかな。


《クエスト「隠れていた配達物」を達成したのです。

 300リーネを入手したのです。

 レザーベルトを入手したのです》


 まだリジーさんとレオポルドさんの報告が残ってるけれど、職業クエストを受けに行くのもあるよね。

 スキルの罠察知を覚えたのって、確かレベル5になったときだから、レベル10になったらまた何か覚えるのかな。もし覚えるとしたら、レベル10になってから職業クエストを受ける方が良さそう。


 と、いうことで私は冒険者ギルドに向かうことにした。

 冒険者ギルドに入ると、相変わらず酒場では昼間から飲んでいるNPCがたくさんいた。あの女性NPCはずっと踊っているのかな。さっきも踊っていた気がするんだけど……。


「リジーさん、こんにちは。頼まれていたもの、手に入れてきましたよ」

「まあ、アオイさん。ありがとうございます」


 リジーさんにスライムゼリーを1つ手渡すと、ナビちゃんの言葉が頭に響く。


《クエスト「リジーの悩み事」を達成したのです。

 レベルが上がったのです。

 レベルが9になったのです。

 300リーネを入手したのです。

 初級治療薬×2を入手したのです。

 魔法書(生)ドライを入手したのです》


 やっとレベルが上がったね。

 だんだんレベルが上がりにくくなってきてる気がする。他の人たちがフィールドに出たがる気持ちがよくわかるかも。


「本当、助かるわ。それで、いろんな人のクエストに応えてくれていたんでしょう? 私の分と一緒に実績処理してあげる」


 そういえば、クエストを受けて達成してから冒険者ギルドに来たのは初めてだったかもしれない。

 私はこれまでのクエストで受け取った達成確認済依頼票をリジーに手渡した。


「ありがとう。達成済はこれだけです、お願いします」

「わあ、ずいぶん多いわね。これはもうランクアップできると思うわ。ギルマスに確認してくるから少しここで待っていてね」


 リジーは私に告げると、急いで二階へと上がっていった。

 全部で9つのクエストを受けていて、終わったのがあと1つ。そのままレオポルドさんを連れてきてくれたら楽なのになあ。


 少し時間がかかりそうなので、冒険者ギルドの中を見回してみた。

 相変わらず酒を飲んで説教を垂れているドワーフがいて、それを聞き流しながら料理を食べているハーフリングがいた。すごい代金になってるんじゃないかなあ。

 しかし、酒飲みの集まる冒険者ギルドの一階に、似合わない姿があった。

 どこかおどおどとした、そして足取りが少し覚束ない感じの少女だ。

 どこか気になるので、私は少女に簡易鑑定を掛けてみた。


  名前:エレナ 

  種族:ヒト(女)

  職業:道具屋の娘


 実は地図埋めのクエストでまわったとき、道具屋は閉まっていた。

 隣が魔道具屋のサビーネさんだったので、事情を話し、教えてもらった。


 私は少し気になったので、少女のもとへ移動して話かけた。


「ねえキミ、パウルさんとお話ししていた子だよね。大丈夫?」

「あ、はい、だいじょうぶです。あの、父さんと母さんが一緒にグラーノの町に買い出しに行って、予定より3日過ぎてもまだ帰ってこなくて、それで、冒険者の人に探しに行ってもらおうと思ってここに来たの。お姉ちゃん、お父さんとお母さんを探しに行ってくれないかな」


《条件発生型クエスト「両親を探して!」が発生したのです。クエストを受けるのですか?》


  クエスト番号:S-001

  クエスト種別:条件発生型クエスト

  クエスト名:両親を探して!

  発注者:エレナ

  報告先:マルチン

  内 容:行方不明の父マルチンと母シベルを探す。

  報 酬:経験値1,000×2 3,000リーネ ??????


 目をウルウルと潤ませながら両手を組み、祈るように少女は話した。

 何度も泣いたのだろう、少女の目は赤く腫れていて何度も擦った鼻も赤くなっている。まだ幼いのに何日も両親がいない家でひとり過ごすのは本当に心細かったに違いない。


「うん、いいよ。探しに行く」


 私はエレナの頭を優しく撫でて言った。


《条件発生型クエスト「両親を探して!」を受注したのです。父親のマルチンと、母親のシベルを探しに行くのです!》

「ほんと? あ、お駄賃がいるんだっけ? でも私、お金もなくて……」


 同時に少女の腹の虫がグウッと鳴いた。たぶん、食べられる食料も残っていないのだろう。


「お金なんていいわ。それよりも、こっちでごはん食べましょ。お姉さんがご馳走してあげるから」

「え、いらないです。それよりもお父さんとお母さんを」

「だめよ、何も食べずに倒れちゃったら、お父さんとお母さんが帰ってきたときに悲しむでしょ?」

「あ、うん。ありがとう……」


 私は酒飲みのNPC冒険者たちから少し離れた場所に少女を座らせ、料理を頼んだ。酒飲みが好きそうな味の濃い料理が多いので悩んだけど、酒場の給仕係にたずねたら、「野菜と肉を使ったスープを使ったパン粥なら作れる」と、いうので出してもらうことにした。





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