第15話 罪と罰


ジェイドside


ジェ「ありえない!」ハァハァ

なんなんだ、あの化け物達は!?

俺は今、全力で逃げる方法を考えながら、走っていた。

異常種の集まりなど、聞いたことがない。

血の契約オメリードを破棄したことで、俺達ルードファミリーはクローバファミリーに攻められる。それは確定事項だ。


まずはどこかに隠れないと、間違いなく死ぬ!

走っていると、人気がなく、光も少ししか差し込まない所があり、そこにひとまず隠れることにした。


ジェ「はぁはぁ、ここまで来れば…大丈夫だろう。あいつらに勝てるわけが無い!くそ!」


俺はあの時見た、あの紅髪の女に恐怖を感じていた。それだけじゃない、黒髪の女も銀髪の女も皆、異常種ばかりの化け物達の姿を、そしてその強さを目の当たりにしてしまった。どこかのファミリーに匿ってもらわなければと、動こうとした時。


??「ここにいたのね、ドン・ルード。」

その声に顔を上げると、復讐者がそこにはいた。

ジェ「き、貴様か。助けてくれ!」

俺の必死の訴えに、呆れたような態度で。

復讐者「はぁ、助けて欲しい…ね。どうして?」

ジェ「き、貴様は協力者だろ!助けるのは当然だ!」

復讐者「やはり、精神操作を微弱にしたのは、失敗だったわ…。」

こんなことを言ってきた。

ジェ「は?精神?操作?な、何を言ってるんだ!?」

復讐者「おっと、口を滑らせてしまったわ。」フフッ

と、悪びれない子供のようにそう言うこの女に恐怖心を抱いてしまう。しかし、このままでも死ぬのは確実なので。


ジェ「わ、わかった、金か?確か、貴様は無所属だったな!俺が正式に雇ってもいいぞ!」

俺は必死に訴えた、こいつが敵なら恐怖でしかないが、味方ならこんなに心強いことは無いからだ。

一途の望みにかけている。藁にも縋りたい思いなのだ。


復讐者「はて?私が無所属っていつ言ったかしら?」

ジェ「は?ど、どういうこと…だ?」

復讐者「私は無所属じゃないわよ?何を言ってるのかしらこの猿が。」

ジェ「なに!?貴様、俺はルードファミリーのボスだぞ!そんなハッタリは通じんぞ!」

嘘に決まっている。そうとしかおもえない。


復讐者は黒ローブを取り、俺に正体を明かした。

ジェ「な!?あ、貴女様はまさか…サラ=トレーフル様!?」

俺は大いに驚いた。本来ここにいない人がいるのだから。この方はドン・ブラッド様の側近である、サラ・トレーフル様だったのだ。


サラ「はぁ、ようやく分かったかしら?」

ジェ「な、何故ここに…?」

サラ「そんな事はどうでもいいの。」


これは、まずい状況だ。だが、チャンスでもある!ここで、ブラッドファミリーと協定を結ぶことが出来れば、助かるかもしれない。そう考えた俺は土下座をし。


ジェ「サラ・トレーフル様、ルードファミリーと血の契約をお願いしたく存じます。」

そういうと、彼女は急に笑いだし、笑いが終わった瞬間、無表情で俺に言った。


サラ「笑えない冗談ね、却下だわ。」

ジェ「な、なぜですか!?」

サラ「先程の事を思い出してご覧なさいな。あなたは契約を破っている、そんな人とする訳がないでしょう?」

ジェ「し、しかし!クローバのボスは殺せましたし、我々にとっては非常に有えk。」

有益だと言いかけた時、俺の顔のすぐ横にナイフが刺さっていた。


サラ「そう、それよ。あなた兄様を殺しかけたわよね?」

ジェ「お、お兄様?ですか?ドン・クローバが!?」

サラ「ええ、私の愛しい愛しい愛しい愛しい兄様をあなたは殺しかけました。まぁあなた如きにやられる兄様ではありませんが。」

ジェ「な!?俺いや私は、そんなつもりではなかったんです!」

サラ「そんなつもりが無くても、兄様を傷つけた時点で、ゴミは要らないの。さようなら」

ジェ「ま、まってくれ!はなしをk」グサッ

話しかけた時には俺の胸にナイフが刺さっていた。

サラ「あなたはもう用済みだわ。潔く、果てなさいな。」

そして段々俺の意識が落ちていき、俺の目の前は真っ暗になったのだった…。


サラ「兄様の近くにいたあの女、忌々しい!兄様の近くにいたなんて。いつかこの手で…。さてと、このゴミは放置でいいわね。」


サラはそう言うと、闇に溶けて消えていった。



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