第5話 決戦前会議③
一葉side
一葉は凛怜に渡しそびれたものを渡すため、凛怜が居る執務室に足を運んでいた。
一葉「ん?あれは愛凛姉さんだね。なんであんなに慌ててるんだろう…って早っ!?」
愛凛姉さん、いつもより早い動きで走ってったけど、ほんとにどうしたの!?と思いつつ、執務室の前に行く。
コンコン
一葉「入るよ、凛怜。」
凛怜「お、おう一葉、どうした?」
凛怜が若干涙目になっている所を見て、私は一瞬で察する。あぁ…またいつものか…と、原因は分かっているが、気付かないふりをして聞いてみる。
一葉「…凛怜、どうしたの?」
凛怜「な、なんでもないぞ?」
そう言って凛怜は私から顔を背けている。
凛怜は凛怜で必死に強がっているようだが、説得力が無いなと苦笑いをしつつ、言う。
一葉「愛凛姉さんと何かあったんだね?」
凛怜「」ギクッ
私がそう言うと、また今にも泣きそうになっている。こういう時の凛怜を見るのは久しぶりだ。
凛怜は私達に拒絶されたと思うと精神的に弱くなってしまい、気弱になるという弱点があった。過去のトラウマが元になっているらしいけど、詳しくは聞いていない。瑠衣姉さんともう1人はしっているようだけど…。これじゃダメだと思いつつ、私は凛怜を抱きしめる。
凛怜「!?か、一葉!?」
一葉「大丈夫だよ、皆、凛怜のこと大好きだから。安心して。」
凛怜「…うん。」
と言って、凛怜も抱き締め返してきた。
若干の恥ずかしさはあるけど、久しぶりに凛怜と抱き合ったので、私の中は幸福感という言葉が支配していた。
一葉「これは役得かな?」((ボソッ…
凛怜「ん?何か言った?」
一葉「いやなんでもないよ、それよりもう大丈夫かい?」
凛怜「あぁ、すまない、迷惑かけたな。」
一葉「全然いいよ。さて、これ渡しそびれた書類だよ。」
凛怜「おう、これか、わざわざありがとうな。」
一葉「うん、じゃあ私は戻るからね。」
凛怜「おう、またな。」
私は退出し、しばらく扉の前にいた、さっきの事を思い出して、ニヤついていると。
瑠衣「随分お楽しみだったようだね。」
と、瑠衣姉さんが何やら黒い笑みを浮かべて立っていた。
一葉「瑠衣姉さん、そうだね。とても楽しい時間だったよ🎶」
瑠衣「へぇ…。」
一葉「ふふ、本当に凛怜は世話がやけるね🎶」
瑠衣「それは僕の役割なのに…。」((ボソッ…
一葉「姉さんも愛凛姉さんに負けず劣らず凛怜好きだよね…。それじゃ私は行くね。」
と言って、スキップしながら、私は仕事場に戻るのだった…。
瑠衣side
僕は執務室の前で凛怜と一葉の会話を聞いていた。
あの状態に凛怜がなったんだなと考えて、入ろうとドアを少し開けた時、2人が抱き合ってる光景が見えた。
凛怜がああなった時の対処法は幹部全員が知っている。だからこそ狙ってやって、合法的に抱きつく事を画策する人もいるくらいだから。
それを見ると僕は少なくとも胸の奥にナイフを刺されたような痛みが走る。
瑠衣「はぁ…。」
と、ため息を吐いていると一葉が出てくる。
何やら嬉しそうにニヤついている一葉を見て僕は精一杯笑顔を浮かべて、
瑠衣「随分お楽しみだったようだね。」
と言うのだった。
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