第22話 オーク討伐

木の上で待機し、そういえばまだスライムを見たことがないな、などと考えていると何かが近づいてくるのを察知した。上空へ上り、姿を確認する。二足歩行のブタ。目的のオークだ。手には木の棒を持っている。数は一匹、都合が良い。

いつもの上空からの奇襲でいくつもりだが、一撃で仕留めるのは無理だと思っている。

情報ではオークはかなり丈夫らしいのだ。おそらく頑強のスキル持ち。この防御力を突破できるかが、一人前の冒険者たるかを分ける境目というわけだ。

まずは一撃目!狙い通り背後頭上からの頭への一撃が綺麗に入った。すぐに気配を消したまま、上空へ退避する。オークは少しふらついたが、キョロキョロと周りを見回している。

やっぱりタフだな。でもダメージが通っていないわけではなさそうだ。

二撃目、三撃目と繰り返すと、とうとうオークは膝をついた。流石にオークも背後や上空を警戒しだした。あと一撃で仕留めれそうなのだが、上空からだとカウンターをもらう可能性がある。

仕方がない、地上から行くか。

俺は木の陰から飛び出し、一気に間合いを詰める。オークも気付いて木の棒を振ってきたが、それを受け流して顔面にロッドを叩きつけた。すぐに頭へ追撃をしようとしたが、オークも振り返りながら横薙ぎに木の棒を振り抜いてきていた。回避が間に合わず、飛び退きつつ障壁二枚を盾にして防ぐが、一発で二枚とも砕け散った。

距離が空くと今度はオークが満身創痍といった感じではあるが、猛然と突撃してきた。オークの足へ引力スキルを発動させると転倒させることに成功したので、最後は全力で頭を叩き潰した。


オークとフォレストバードは影空間に放り込んで、すぐに撤収することにした。その場でオークの血抜きもしたかったが、危険だと判断して一旦森を出た。

森を出たところで、穴を掘ってオークの血抜きをする。足にロープを結び、オークが逆立ちするように木に固定する。重すぎて吊るすことができないので、首の下に穴を掘って解体ナイフで首を切った。皮膚がすごく硬い。首は切断できなかったので、頭はついたままだが何とか血抜きを完了させる。

途中でゴブリンがわらわらと森から出てきたが、獲物を渡す気はないので撲殺する。魔石だけ回収してこちらは放置した。


オークを影空間にしまって解体場へ向かう。以前の鹿の頭の件があったので、オークの頭が地面から飛び出していないのは念入りに確認した。俺は同じ失敗を繰り返さないのだ。

その日の換金額は過去最高額となった。解体が終わるのを待つ。今夜はオーク肉で祝杯だ。


宿屋の裏のスペースで調理器具を準備する。メニューは当然、ステーキだ!

うむ、やはり自分で狩った獲物はおいしく感じる。オーク肉は街の飯屋でも食べたことはあったが、なんか違う気がする。肉の部位が違うのかもしれないな。以前の鹿肉もうまかったが、魔物肉のほうが肉の味が濃い気がする。ビールにも最高によく合うな。

しかし、オークは手強かった。手負いの獣は恐ろしいというが、まさにその通りだった。かなりの手傷を負っても戦意を失うこと無く、最後は突進までしてきた。障壁二枚破られた時は肝が冷えた。オークは重いので引力スキルは効果がないと思っていたが、最後は足元が少しふらついていたから転倒してくれたのだろう。万全の状態のオークにはおそらく引力スキルは通用しないはずだ。理想はやはり頭上からの奇襲のみで討伐できるようになることだな。もっと筋力トレーニングを頑張らないとな。


だが今は勝利の祝杯を楽しもう。

今日も生き残れたことに一人で乾杯。

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それから1ヶ月、魔物狩りに励んだ。天気が悪い日は筋力トレーニングだ。魔素溜まりの調査に同行する時までには、それなりの戦力になるようにしておきたい。領都へ拠点を移す日が近づいてきたので、お世話になった人たちには挨拶しておいた。


現在のステータスはこんな感じだ。


ステータス

名前:ルノ

性別:男

年齢:26歳

職業:商人

種族:人間

スキル:忍び足Lv4、気配希薄Lv4、精神耐性Lv3、契約魔法Lv1、筋力強化Lv3、クリーンLv3、暗視Lv3、隠蔽Lv5、気配察知Lv4、身体強化Lv4、俊足Lv2、直感Lv2、杖術Lv3、体術Lv2、金属魔法Lv2、魔道具作成Lv2、引力Lv2、解体Lv1、危険察知Lv1、回避Lv1

固有スキル:潜影Lv3、障壁Lv3

称号:次元の狭間を超えし者


スキルがいっぱい増えてきて訳分かんなくなってきた。でも、かなりいい感じの動きができるようになってきたと思う。スキルレベルが上がっていくにつれて、なんというか動きに無駄がなくなってきたような、理想の動きができるようになった気がする。解体スキルはほとんど解体場で解体依頼に出してたにも関わらず習得できていた。血抜きと毛皮剥ぐくらいしかしてなかったんだが。

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