第11話 教会でお祈り
宿へ戻って晩飯にするかと思ったが、まだ早いな。そうだ。教会を探してお祈りをしておこう。通行人に道を尋ねながら辿り着いた教会は・・・結構ボロかった。まあ、神様にお祈りすることが大事だからね。建物は気にしないようにしよう。中に入るとシスターさんがいた。他国からきたので、この国のお祈りの作法を教えてくれと尋ねて、大銀貨1枚お布施した。いろんな神様がいると聞いていたが、祀られてるのは主神像のみだった。髭の長い厳つい顔の爺さんの像だ。これがこの世界の主神ガイアース様か。神像の前で教わった通りに、お祈りする。
『ここまで危機に遭うことなく、無事生きてこれました。ありがとうございます。来月には領都への旅がありますので、どうかお守りください。』
『ちっ。異分子が。』
ん?今なんか舌打ちが聞こえたような・・・気のせいか。
帰って飯食って寝よ。
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訓練場でのトレーニングを再開して、3日目で異変に気付く。ステータスに変化があったのだ。
ステータス
名前:ルノ
性別:男
年齢:26歳
職業:商人
種族:人間
スキル:忍び足Lv1、気配希薄Lv1、精神耐性Lv1、契約魔法Lv1、筋力強化Lv1、クリーンLv1、暗視Lv1、隠蔽Lv5、気配察知Lv1
固有スキル:潜影Lv1、障壁Lv1
称号:次元の狭間を超えし者
気配察知のスキルが増えてるのは大変喜ばしい。このスキルが取得できたのは思い当たる節がある。訓練場の隅っこでトレーニングをしていると、こっちをちらちら見ている連中がいるのだ。しかも日に日にそんな野次馬が増えている気がする。できるだけ見ないようにしているのだが、気になるのだ。あ、今日は野次馬が何人いるな、というのが何となく気配で見なくても分かるようになっていた。気配察知という有能そうなスキルが手に入ったんだから野次馬には感謝だな。
それはともかく、隠蔽スキルのレベルが一気にLv5になっている。どういうことだろうか。そんなにこまめにステータスを見ていなかったので、いつ上がったのか分からない。気になって翌日、教官殿の戦闘講習を予約した。スキルのことを聞くなら教官殿が一番だ。あと、トレーニングの成果を見てもらおう。
教官殿に素振りをみてもらったあとは、盾を持った教官殿に打ち込みを行った。最後の方は教官殿も反撃してきて、素手のパンチ一発で自慢の2枚重ね障壁が砕け散った。俺の心も砕け散った。精神耐性スキルは仕事してるのだろうか?
一通り講習が終わった後、最後にスキルレベルの上がり方について尋ねてみた。
「スキルレベルの上がる速度の違いか。それは適正の高さだな。」
「才能の有る奴と無い奴ってことですか?」
「そういうことだな。ただ根拠はないがな。才能なんて検証できんだろ。」
つまり、自分は隠蔽スキルの適正がすごく高かったということか?それにしては一気に上がり過ぎな気がするが・・・
「ただし、取得しやすい、レベルが上がりやすいと言われているスキルはある。」
「それが『身体強化』スキルだ。体がちょっと丈夫になったり、病気にかかりにくくなったりするやつだな。みんな持ってるだろ。俺なんか実家が農家で子供の時から畑仕事手伝ってたから、6歳の時には取得してたな。」
なん・・・だと・・・。
みんな持ってるスキルを俺は持ってないのか?しかも病気にかかりにくくなるって超重要なスキルじゃん!今すぐ取得する必要があるぞ!?どうやって取得するの?俺そのスキル持ってません、なんて言える流れじゃないんだが。
俺は目の前が真っ暗になった。
おかしい、暗視スキルがあるのに。金貨5枚もしたんだぞ。仕事しろよ暗視スキル。
「15歳で冒険者になって魔物討伐始めて16歳になる頃には、身体強化はLv10の上限になってたな。ああ、でも上限まで上がるやつは流石になかなかいないぞ。やはり、弛まぬ鍛錬があってこそだ。才能なんぞに頼っている奴では絶対に得ることができない肉体美がここにある!」
そう言って、教官殿はポージングを決めながら今日の訓練を締めくくった。
もう隠蔽スキルのことなどどうでも良くなっていた。
俺は戦闘講習のあともトレーニングを続けた。教官殿は『畑仕事を手伝っていたから取得できた』『弛まぬ鍛錬があったからこそLv10になった』と言っていた。つまり、鍛えれば身体強化スキルは手に入るはずなのだ。身体強化スキルが手に入るまで、障壁スキルの訓練は無しだ。とにかくトレーニングだ。病気にかかる前までになんとしてでも手に入れなければならない。俺は死にものぐるいで頑張った。そして俺の願いが届いたのか、3日後には身体強化スキルが取得できていた。
ステータス
名前:ルノ
性別:男
年齢:26歳
職業:商人
種族:人間
スキル:忍び足Lv1、気配希薄Lv1、精神耐性Lv1、契約魔法Lv1、筋力強化Lv1、クリーンLv1、暗視Lv1、隠蔽Lv5、気配察知Lv1、身体強化Lv1、俊足Lv1、
固有スキル:潜影Lv1、障壁Lv1
称号:次元の狭間を超えし者
スキルは順調に増えていっている。スキルレベルは全く上がる気配がないが。
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