第10話 商人としての活動
そういえば商業ギルドに登録したんだから、そちらの活動もしておかないといけない。というわけで露店の集まる広場へやってきた。受付へ行き利用料を払い、テーブルを借りる。屋台のレンタルもあったが、パンを売るだけなので設備はいらない。指定の場所に行き、テーブルの上にパンを置いて準備完了だ。ビニール袋を破ってパンを取り出す作業は宿屋で完了済みだ。バスケットに山積みにして布を被せておく。値札がいるな。紙(書類の裏面)にチョコクロワッサン銅貨2枚、アンパン銅貨2枚と書く。普通のパンが銅貨1枚前後で売られているのでかなり高額かもしれない。試食を用意しておくか。隣の露店が刃物屋さんだったのでナイフを購入。ついでに挨拶代わりにとチョコクロワッサンとアンパンを差し上げた。お返しにと砥石をもらってしまった。
購入したナイフで一口サイズにパンを切って皿に入れる。『試食無料。お一人様各一つまで』と書いて陳列。
字読める人どれくらいいるんだろうか?まぁ、最初は様子見だな。売れるといいな。
------------------------
パンは完売した。昼過ぎには撤収することにした。
隣の刃物屋さんが繁盛しており、常連さんたちをうちに紹介してくれたのだ。有り難い。お礼にまたパンをプレゼントしてあげた。
チョコクロワッサンは特に人気で用意していた数では足りず、こっそりビニール袋を破りながら追加した。いくつ追加したか分からないくらい売れた。最初準備していたのが50個ずつだったから、最低でも大銀貨2枚以上の売上だ。これで何とか生活できる。
-------------------------
オーダーメイドで注文していた革靴がそろそろ出来上がっているはずだ。フィデルさんのお店へ向かう。
「ご注文の品ができあがっておりますよ。それから商会長がルノ様がお見えになられたら、お伝えしたいことが有るとおっしゃっていました。お時間頂戴することは可能でしょうか?」
「もちろん。構いませんよ。」
何の要件だろうか?と考えながら応接室で待つ。ここで出される紅茶はうまい。店に茶葉売ってあったから買おうかな・・・。いやいや、今日は散財しないと決めたんだ。
「お待たせしました!貴重なお時間を割いて頂き、ありがとうございます!」
「いえいえ、お構いなく。」
その後は世間話を挟み、いよいよ本題かといったところで、フィデルさんが言いにくそうにモジモジしている。
「それでですね。本日お時間頂いた件ですが・・・」
「はい、何でしょうか?」
「あのシャンプーとリンスがですね!大変好評でございまして、噂が噂を呼び、多数のご注文を頂いているのですよ!今まで取引できなかった大商会や領主様との付き合いもできたり、他の革製品などの売上も伸びているのです!」
そうか、売れてるのか。店内にどこにも陳列されていなかったから、どうしたのかと思っていたのだが。なるほど、商売の付き合いを広げるために利用したわけか。
「それはそれは、景気が良いようで何よりですね」
「はい、それで追加で卸して頂けないかとお願いしたいのです。もちろん、一ヶ月待つお約束だったのですが、準備できる数だけで構いません!お願いします!」
「フィデルさんにはいつもお世話になっていますからね。前回と同じ数でよろしいですか?」
「ありがとうございます!あ、今回はリンスも200個欲しいです。」
「分かりました。では準備しますのでお待ち下さい。」
いつものようにどこからともなくチャールズさんが現れて取引を終える。
「ありがとうございました!無理を聞いてくださって本当に助かりました。」
「こちらこそ。良い取り引きをありがとうございます。」
「そういえば一ヶ月後に領都へ出張予定なのですが、よろしければルノさんも一緒に行ってみませんか?」
「ぜひ行ってみたいですね!同行させてください!」
「分かりました。日が近づきましたらまたご連絡致しますよ」
そして、できあがった革靴を受け取り、紅茶の茶葉を買って帰った。今日は散財しないと決めたはずだったのだが、いつもの店員さんの笑顔にはやっぱり勝てなかった。臨時収入もあったしまあいいか。
-----------------------------
俺はフィデルさんのお店を後にすると、金貨を握りしめてスキップしながらスキル屋に向かった。先日購入できなかったスキルを習得するのだ。スキルはまだ売れずに残っていた。新しいスクロールの入荷も無いようだったので、予定通り『クリーン』『暗視』『隠蔽』のスキルを購入する。金貨13枚也。この世界に来てから俺は金遣いが荒くなっているな。しかし、これは必要な出費なのだ。すぐにスクロールを使用して習得する。
クリーンは対象を綺麗にするスキルだ。掃除するときにとても便利。レベルが上がると範囲が広くなる。
暗視は暗いところでも目が見えるようになる。
隠蔽はステータスを隠すスキルだ。看破などのスキルでステータスを見られなくなる。
ステータス
名前:ルノ
性別:男
年齢:26歳
職業:商人
種族:人間
スキル:忍び足Lv1、気配希薄Lv1、精神耐性Lv1、契約魔法Lv1、筋力強化Lv1、クリーンLv1、暗視Lv1、隠蔽Lv1
固有スキル:潜影Lv1、障壁Lv1
称号:次元の狭間を超えし者
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます