第2章 縄に繋がれて

時は過ぎ、夏の出来事である。夏祭りである。

僕は数少ない友達から、夏祭りに誘われたのだ。僕は悩んだあげく、断った。なぜなら、僕には、恋心を抱いている人が居るからだ。姫月。ただ、夏祭りへ誘う勇気はない。僕は臆病な人間だ。そう思っていた時である。「夏祭りに行かない?」奏でられた美しきハープのように透き通った声の方向には、姫月が居た。

彼女は声を掛けてくれたのだ。僕は「いいよ」ただその一言。同時に激しい不安が過ぎった。

「なぜ僕なんだ、友達を誘わないのか?」嬉しいはずなのに、どこか疑問による僅かな憎悪があった。

夏祭り当日、僕は姫月と合流した。私は彼女に会うために、似合うかすら分からない和服を着ていった。たがその事すらを考えさせないくらい、彼女の姿は素晴らしかった。彼女の着物姿は可愛らしかった。「楽しもうよ、2人きりでね」と呟き、僕らは2人で歩いた。場違いな質問を僕はした。「なんで、僕を誘ったの?友人とかとは行こうと思わなかったのか?」孤独である僕だからこそ、僕より楽しい人たちと行った方が彼女にとってはいいんじゃないかと、考えてこのようなことを聞いた。姫月は「私、実は友達と仲良くなくてね。だから、距離を置きたかったんだ。」そう言って彼女は顔を朽ちる紅葉のように赤く染めた。

僕は理解した。そして僕は「僕、姫月の事が好きだ。」と告白した。姫月の顔は更に赤くなった。僕は何をしてるのか分からなくなったが、同時に早く答えを求めていた。少し経って姫月は「ありがとう、私も好きだよ。今日、それを伝えようとしたら先に言われちゃった。」と開き直った。僕は静かに笑った。彼女は僕に告白するために友達と行かず、僕を誘ったのだと。僕ら2人は縁に結ばれていた。空に浮かぶ月光が姫月と僕を照らした。紡がれた糸は、今日を持って縄となったのだ。けしてほどけない縄である。

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