第12話 薬草集め

「そういえば採取ってどういう依頼があるんですか?」


ギルドに向かう途中、ふとセシリアさんに聞いてみた。普通なら山菜とかだろうけどそれをわざわざ冒険者に頼むのは疑問。

となると採るのに知識か戦闘能力がいるかもと思ったからだ。


「そうですねぇ…ほとんどは薬草や魔力の宿った野草などでしょうか?」

「魔力の宿った野草?」

「そういえば記憶がなかったな、魔物が死ぬと魔物が体内に持っている魔力がその辺にばらまかれるんだ。すると周りの土とかが魔力を帯びる。そこから生えるのが薬草、野草に魔力がいけば魔力を帯びた野草になる」

「他の植物よりは質も高いので効果が高いんですよ」

「もちろんそういうのがあるところには魔物がいるから冒険者おれらが行くわけだ」


魔力は鉱物などにも宿ることとか強い魔物やかつて大量の魔物が出たところには効果の高い薬草や鉱物が出ることもあるとか。ゲームで強い魔物が出てくる地域やかつて伝説の魔物がいたダンジョンとかに強い武器やアイテムが出る原因はこれなのかもしれない。

ギルドに到着するともうすでにギルドは空いていて少しばかり人がいる。これから依頼を受ける人達だろうか、鎧を着こんだ初々しい者達や傷の目立つ鎧を着た熟練と言った雰囲気の人達もいる。


人が集う掲示板の方に近づいてみると人が多くて掲示板が人で隠れている。周りより背が低いことがどうにも恨めしい、全く見れない。

どうにか見ようと背伸びを繰り返してるとひょいっと持ち上げられた。


「これで見えますか?」

「ギンリュウさん」


腕で抱えられたので見てみるとギンリュウさんがボクを抱えてた。イケメンにしか許されない行動である。腰に差していた刀が一本増えておりどうやら脇差が増えているようだ。ボクは特に嫌悪感などは抱かないので感謝を伝えて掲示板を確認すると採取系の依頼をいくつか見つけた。難易度はハンコの数で決まっているようでボクはハンコが2つ押されている紙を掲示板から剥す。


「これなんてどうでしょうか? 危険が少なそうだったのでこちらを選んでみたんですけど」

「いいですね、距離もそんなに遠くないので今日中に帰れるでしょう」


下ろしてもらい依頼書をセシリアさんに見せるとセシリアさんからもいいと許可を貰い、それを受付に持っていこうとするとキールさんから止められる。


「待て、その前にお前のパーティー登録が先だろ」

「パーティー登録?」

「あぁ、そういえば言ってませんでしたね」


そういうとギンリュウさんは受付に向かい冒険者カードを提示すると少し頑丈そうな紙を持ってこちらへと来た。

その紙を見ると三人の名前が書かれており上に《白銀の風》と書かれている。


「これがパーティー登録の申請書でしてここに名前を書いて受付に出せば正式に登録したことになります。この依頼書に『1パーティーのみ』と書かれているでしょう? これがないと私達のパーティーしか受けられないんです」


ふむふむ、こういう申請が必要になる時もあるのか。思ったよりも形態化できているんだ。とりあえずペンを借りて示されたところに名前を書く、そして名前の横にある四角い枠に指を押し付ける。すると冒険者カードの時のように痛みはなく何かが抜けるような感覚だけだ。指を離すと指紋のような跡が出来ている、これで提出したら登録完了のようなものだろうか。


「これで大丈夫です、パーティーリーダーの承認が必要なのでセシリアさんにも行ってもらいましょうか」

「そうですね、行きましょうかシェリーちゃん」


セシリアさんに連れられ受付に行く、受付は女性だがアリスさんではないようだ


「ようこそ、ギルドへ。ご用件は何でしょうか?」

「彼女のパーティー登録とこの依頼の受注をお願いします」

「はい、冒険者カードの提示をお願いします」


ボクの冒険者カードを出すとニコっとそれを確認して母印の隣に何かハンコを押す。

どうやらこれでパーティー登録が出来たようだ。依頼書の内容はどうやらボクがいた教会の近くの地域らしい。依頼自体はパーティーリーダーのサインが必要なのでセシリアさんがさらさらと書いていた。


「あとは準備を終わらせればいけますかね」

「その前に」

「そうですね」


セシリアさんとギンリュウさんがボクの様子を見る。


「お前の装備を用意しなくちゃな」


キールさんがボクを見てそう告げた

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