第4話 快適な探索
無事にダンジョンの入り口まで送られた私は、彼等と別れて聖女教会へ連絡を入れた。
その組織は、私が所属している組織であり、魔王の影響で荒れた各地を癒すために活動している所だ。
その聖女教会で、トップ3に入る実力の持ち主だった私は、勇者様の力になるだろうと判断され、上層部の意見を受けた後に、送り出されたのだが……。
こんな結果を伝えなければならないのは胸が痛い。
おそらく、本部に戻る事になるだろう。
しかし、返事をもらえるまでは期間がそうとう空くはずだ。
本部はこの場所からかなり遠いので、手紙を送るだけでも一か月はかかる。
だから、私はその間あの冒険者達の力になろうと思った。
冒険者ギルドに顔を出して、数日。
偶然出会う事ができたエルコン達に、私は事情を説明した。(自分の素性や日ごろの勇者の態度については触れずに)
仲間達が死んでしまったので故郷に帰ろうと思ったけれど、それには準備が必要だ。
だから、その間は貴方達の力になりたい、と言ったのだ。
すると「それなら大歓迎だよ。ちょうどもっと仲間が欲しいと思っていたところなんだ」とエルコンは言ってくれた。
他の仲間達も「支援魔法使いがいないし」「ちょうど良いんじゃないか?」と賛同してくれたので、臨時の一員としてパーティに加入する事になった。
それからは、以前とは打って変わってスムーズな探索になった。
勇者のパーティーに入っていた頃は、リーダーである彼の独断専行が多かったから、何かをする時は必ずもめた。
しかも、自分の力量にあわない相手にもつかっかかるものだから、毎回戦いの度にひやひやしたものだ。
一般の冒険者より力がある事が災いしたのだろう、他の者達より先に進めるものだから、どんどん調子にのってしまったと思われる。
けれど、今はそんな独断専行は一切ない。
「よし、かなり実力がついてきたな。もっと先に進もうと思うけど、皆はどう思う?」
エルコンは必ず、何かをする際はパーティーの同意を得てから行動するし、
「珍しいな、あんなに強いモンスターが徘徊してるなんて、俺達だときついから、見つからないように通りぬけるぞ」
無謀な戦いに突っ込んでいく事もない。
とても快適な探索の時間だった。
このまま、彼等の仲間になって活動しても良いと、ちょっと思ってしまうくらいだ。
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