第28話 ご賞味あれ
京都人のサクヤは知っている。
創業二百年足らずの店なんて京都にざらにあるし、それ以上古い店もゴロゴロしている。老舗というのなら、五百年や千年の歴史があってから名乗ってほしい。
……とはいえ、である。
バウムクーヘンの歴史を、自分の目で見て体感してきたサクヤにとって、感慨深く感じずにはいられなかった。
さっそく切り分けると、サクヤはカスミをテーブル席に座らせ、食べくらべをさせる。順番に一切れずつ食べおえたところで、
「どう? カスミ。どのバウムクーヘンがおいしかった?」
はやる気持ちを抑えつつ、サクヤは感想を求めた。
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