第27話 集う、二百年の歴史

 帰国後。

 サクヤはカスミを自宅のキッチンへ呼び、テーブルにバウムクーヘンを並べた。


「見るがいい、我が妹よ。これが本家バウムクーヘンだ」


 エアステ・ザルツヴェーデラー・バウムクーヘンファブリクで購入したチョコレートコーティングとフォンザンコーティングの二種類。カフェ・クルーゼも同様の二種類を買ってきた。

 さらに箱が二つならぶ。


「こっちは、帰りに梅田によって購入してきた、ユーハイムとクラブハリエ」

「こんなに?」

 カスミの声が裏返る。

「どう、すごいやろ。二百年前にザルツヴェーデルのシェルニコウの店ができてから約百年後、カール・ユーハイムが日本にバウムクーヘンをもたらし、それから約百年後の現在に至る。目の前に、バウムクーヘン二百年の歴史があるんだから」

 サクヤは鼻息荒く力説した。


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