第24話 旅の醍醐味
翌朝、サクヤは両腕を突き上げ、心地よい眠りから目覚めた。
中央駅前にあるのに思ったほど騒がしくはなかった。万が一うるさかった場合も考慮して、耳栓をしていたが必要なかったかもしれない。欲をいえば、掛け布団がもっとふわふわで湯舟がほしかった。若い一〇代の頃は安ホテルでも気にならなかったが、そろそろ気を使ったほうがいいかもしれない。
六時半から朝食が食べられるのはありがたかった。
バイキング形式のレストランは、パンの種類が豊富で野菜やフルーツ、ハムやソーセージなど品数が充実している。おまけにサイズが大きい。
「あまりの美味しさに、食べすぎてしまいそうだ」
予定がなければのんびりと食べたかったが、電車の時間があるのだ。
サクヤは朝食をすませてホテルを出、歩いて一分のところにあるフランクフルト中央駅からICE高速鉄道に乗りこんだ。
日本では新幹線の食堂車はなくなったが、ドイツには食堂車がまだある。
旅行は移動が多くなるため、ゆっくり落ち着いて食事をたのしむ時間は、なによりも重要なのだ。
食堂車で車窓を眺めながらソーセージとドイツビールを飲食し、二時間二十分も電車に揺られてハノーバー駅に到着した。
ローカル列車に乗車し、ユルツェン駅で乗り換える。
今度はホームに入ってきた赤いドイツ国鉄に乗り、サクヤは目的駅のザルツヴェーデル駅にたどり着く。
ハノーバー駅から、実に四時間もかかった。
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