第5話 家族と分かち合うため

「いいか、妹よ」


 サクヤは、妹にもわかるように、ゆっくりと話しはじめた。


「引き菓子というのは、披露宴の列席者へ引出物と一緒に持ち帰っていただく菓子であり、おすそ分けの意味がある。帰宅後、家族と分かち合うための土産のことなのだ」

「引き菓子っていうんだ。なるほどね」

「結婚式の引き出物は、主となる品に引き菓子やおめでたいとされるしきたり品を加えて三品、あるいは五品、といった奇数にして贈るのが良いとされている。しきたり品には地域によって異なるけれど、鰹節や昆布、赤飯などは定番になっていることが多い」


 説明しながら、サクヤは心のなかで泣きべそをかいた。

 これくらい一般常識であって、決して婚期を気にして調べたわけではない。

 はやく海外に旅立って、IT長者や大企業のCEOの金持ちと出会わなくてはっ。


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