第4話
「彼女、RTAプレイヤーの中では結構有名なのよ」
「RTA?」
「ってなんだ?」
RTA……?
ライス・チルド・アイス? 冷凍食品的な?
「リアル・タイム・アタック。ゲームでできるだけ短くクリアだったりをするものよ」
「やっぱりそうだよね! リアル・タイム・アタック! 僕もすぐそう思ったんだ! リアルタイムアタック最高!」
リアルタイムアタックに決まっているではないか。誰だよ冷凍食品とかか考えたやつ。脳味噌食欲しかないの?
……榎本さんの視線が痛い。
「あなたがそうやって捲したてるときは、何かを誤魔化そうとしているのね?」
「そんな訳ないじゃないですか嫌だなぁ! 僕ほど品行方正な人間はこの学校中探してもなかなかいないんじゃないですか⁉」
「行動が何よりの答えね」
榎本さん僕にだけ口撃力高くない? 特攻持ちなの? ソシャゲの課金催促じゃないんだから。
イベントごとに特攻持ち出されるのは無課金勢にはきついよな。
「彼女はニンテンドー64のゲームを主にやっていてね。本来私たちの年齢だったら3DSから後が普通だと思うんだけど、彼女は手に合わないからっていろんなハードをいくつも試して結果祖母の家に放置されていたニンテンドー64が一番手になじむとわかってから、それでRTAを始めることになるの。始めてからめきめきと頭角を現して、中学3年生にしてとあるゲームでワールドレコードをたたき出したのよ」
「待って待って恥ずかしいからっ!」
「64がおばあちゃんで、RTAがニンテンドーで、ハードがワールドレコード中学3年生……?」
「言葉を適当につなげているだけでまったくわかってない奴だ!」
春野さんが顔を真っ赤にしながら榎本さんの口と鼻をふさいでいた。おい死ぬぞ。
「ゴホッゴホ、こほん……まあ、彼女は「決まった」ものが見つかったら間違いなく上達するわ。だからこそこんなに何本も試させたんですもの」
「それを先に行ってくれたらうれしかったんだがなぁ……」
「そういう日もあるわよね」
「まとめ方雑過ぎない?」
時計は6時半を示していた。部活動終了の時間だ。
そんなこんなで、僕たちのアンサンブル活動は始まった。
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