その五、証明

 と、その前にとばかりに彼女が、また、ゆるりと口を開きます。


「あたし、実は宇宙人なのよ。だから、家は月にあるの。だから招待できなかった」


 もはや驚きません。いや、驚けません。あまりに突拍子もない事ばかり言うので。


 もう、笑うしかないわけです。


 くどいようですが、10年近く、彼女と付き合っていたのです。そんな素振りは一切、見えませんでしたし、大体、宇宙人が目の前にいたらSNSで共有コース一直線なわけです。なので、苦笑いをして誤魔化します。またまた、とばかりに。


 彼女は、恥ずかし紛れに、とんでもない事ばかり言っている、そう理解しました。


 しかし、


 このあと信じられない事が起こります。僕と彼女のいる、今に。


 直後、カップ焼きそばがッ。意味、分かりますか?


 意味が分からないのは、当然。


 だって、この時の僕にだって意味が分からなかったのですから。


 兎に角、


 目の前、いや、眼前の上空に光り輝くカップ焼きそばが現れたわけです。いや、正確にはカップ焼きそばにしか見えない真四角な浮遊体(※UFO?)が姿を見せたわけです。彼女は言います。お迎えだよ、あれ。えへっ♡と笑みます。マジですか?


 四角い浮遊物体の底の中央部から温かい光りが放射されて僕らを包んでゆきます。


 そのあとの事は覚えていません。一切。彼女の家に着くまでは。


 ふっと気づくと彼女の家の玄関に立っていました。


 窓から見える外は真っ暗で遠くに地球が見えます。


 とにかく僕は彼女の家へと無事に着いたようです。


 玄関には、柿右衛門様式の壺。


 鑑定団で見て知っていたので、パッと見て分かりました。コレだ。間違いないと。


 いきなりのお出迎えで、腰を抜かしそうになったのは秘密です。


 そして、


 ビビってしまい言葉を失った僕は彼女の自室へと招かれました。


 部屋には一台のPCが在って電源がつきっぱなしで放置されていました。画面にはポリゴンで作られた20が立っています。彼女が近くにあったリモコンを手に取り、TVをつけます。TVの中では、今、まさにミュージック番組に出演中な20。


 月に、地球の日本から電波が届くのかという些細な問題は、この際、無視ですよ。


 映ってるんだから届くんです。


 そして彼女は微笑み言います。


「20は基本的に自律化されたAIで動いているのよ。でも大事な場面では、あたしが介在するの。このポリゴンを動かして、ここに文字を入力する事によってね」


 と、ポリゴンの横にあるウィンドウを指さします。


 そして、


 物は試しとばかりにウィンドウへと今日はありがとうごぜえますと打ち込みます。


 そののち、ポリゴンの右腕をあげるようにマウスで指定します。

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