第Ⅳ章~跳梁跋扈~

第49話 不穏

 武器の製作依頼をしてから5日が経過した、その間アストル達は訓練に勤しみそれ以外の時間は村の奉仕活動を積極的に行っていた


「アストルちゃん、水汲みやってくれてありがとうね、わたしゃ歳だからきつくてね」


「厄介になっているのだからこのくらい何ともない」


 朝一に滞在先の老婆宅に川から水を汲んでくる、ここに滞在を始めた日からやっている


「今日も狩りを手伝うのかい?」


「あぁ、訓練にもなるからな」


 狩りも滞在を始めてから参加するようになった、自分達のレベル上げにもなるので一石二鳥なのである


「アストル!今日も来てくれるのか」


「今日もよろしく頼む」


「君が参加してくれるとこちらも助かるから遠慮はいらないぞ!」


 この5日間でガーネットともそれなりに打ち解ける事ができ、こちらを頼りにしてくれるようになった


「ッチ、魔物のクセにでしゃばりやがって…」


 だが魔物である事実は変わらないのでアストル達を邪険にする者も当然存在する、それも村で一二を争う人気のガーネットと仲良くなればなおさら嫌悪に拍車がかかる


「…すまない、未だに君達を良く思わない者が少なからず居る」


「別に構わない、好き嫌いは人それぞれあるのは当然の事だ、いちいち気にしていたら身が持たないぞ」


「…強いのだな」


 そんな事もありつつアストル達は狩りをするために村から出て森に入る、入ってすぐに二、三人の組に分かれて索敵を始める、アストルは当然オルトと組み更にもう一人加えて動く


「アストル!今日もよろしくぅ!」


「あぁ、よろしくなハンス」


 明るく声を掛けて来たのは監視と言う名目で勤務中に酒を飲んでて奥さんにこっ酷く叱られていたハンスだ、あれからも付き合いは続き今もこうして気さくに話しかけてくれている


「二人ともまだしばらくはここに居るんだろ?」


「注文した物が出来るまでもう少しかかるみたいでな、それまではお邪魔させてもらうよ」


「俺としちゃ大歓迎なんだがな、古臭い頭の固いじじばばやくだらない嫉妬をする馬鹿共のせいで居心地悪いからな」


 森の中を歩きながら世間話をしているアストル達、ただ仕事をしていない訳ではなく話しながらでも問題なく魔物を狩っている、因みにオルトは喋るのが苦手なので世間話には不参加だ


「そう言えばこの間変な話を聞いたんだけどさ、何でも俺ら以外の組では魔物の狩猟数が減ってるらしい」


「そうなのか?魔物が減るのはいい事だと思うが?」


「いや、確かにそれはいい事なんだが変なんだよ、実はここの魔物達って近くのダンジョンから出て来てる物でダンジョンが無くならない限り減る訳無いんだ」


「そうだったのか?それならそのダンジョンが攻略でもされたのでは?」


「それは無いよ、そんな簡単に攻略できるならとっくにしてる、それにもしダンジョンを攻略したらすぐに分かるよ」


「世界のかねか」


「そう言う事、気付かない方が難しいよね」


 世界の鐘とはダンジョンを攻略した際に世界中に鳴り響く謎の音の事だ


「原因を調べるために人を送ったみたいだしすぐ分かると思うよ、あ、噂をすれば何とやらだね、ダンジョンを確認しに行った斥候が帰ってきたよ」


 ハンスが指し示す方を見ると確かに人影がこちらに向かってきていた、しかし近づいてようやく分かった、尋常じゃない怪我を負っている事に

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