第48話 滞在許可

 武具の注文を終えたアストル達は物が出来上がるまで待つしかないのでその場を後にする


「武具が出来上がるまでの間オルトには最低限大剣の扱い方を訓練するか、俺も長物の感覚を思い出さないといけないし」


「分かった」


「そういう事でガーネット、何処か訓練が出来る場所はないか?」


「私達が普段から使っている訓練場を使うといい、そこには大剣も置いてある、流石にタチとやらは無いが…」


「ありがとう、大剣があるだけでも助かるよ」


 ガーネットの案内でいつも使っているという訓練場に向かう


「ここが普段私達が使っている訓練上だ」


 少し開けた空き地に打ち込み用の案山子や弓の訓練用の的など訓練に必要な物がそろっていて、数人が懸命に訓練に励んでいる


「ここでなら存分に訓練してもらって構わない、訓練用の武器はそこにあるから好きな物を使うといい」


 ガーネットの話を聞き早速オルトの訓練に取り掛かろうと動き易い格好になり武器を選ぶ


「それじゃあオルト、この大剣を持って構えろ」


 そう言いながら大剣型の木剣を投げ渡す、オルトはアストルと同じように服を脱ぎ言われた通りに大剣を構える


「まず、持ち方からだな」


 アストルは自分が教わった事をそのままオルトに教えていく、いきなり難しい事を教えても覚えきれないので簡単な構え方や力の乗る振り方、次に繋げる体の動かし方などを考えずとも即座に出せるよう体に徹底的に叩き込む


「的確な指導だな、誰かに師事したことがあるのか?」


 オルトに一通り教えてひたすら反復させていると様子を窺っていたガーネットが話しかけてきた


「あぁ、少しだけな」


「そうか、訓練を終えたらどうするんだ?」


「逆に聞きたいんだが俺達はこの村に居ても良いのか?」


 注文した武器が出来上がるまで待たないといけないがこれまでのように村の外で待機しないといけないのか、それともこのまま村の中に滞在していいのか分からないのでガーネットに聞き返す


「すでに貴殿が無害な魔物と言う事は村の皆に知れ渡っているだろうからこのまま村に居てもらっても構わないと思うぞ」


「事前に説明でもしていたのか?」


「当然だ、不要な騒ぎを起こさない為にも事前の説明はしてあった、しかしそれが無くとも貴殿の事はすぐに村中に広まったと思うがな」


 人の口には戸が立てられないと言う様に、閉鎖的な村に余所者、特に魔物ならばなおさらに注目される


「それならお言葉に甘えて滞在させてもらうとするよ」


「あぁ、ぜひそうしてくれ」


 こうして武器が出来上がるまでの滞在先を確保できたアストル達は村で厄介になるのだった

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