第47話 オーダー
「それで、お前さんはどんな得物を使うんだ?」
ひとしきり笑い終わったガインが真面目な顔をして問うてくる
「そうだな…すまないが貴方はカタナを知っているだろうか?」
「あぁ?お前さん儂をバカにしとるんか?何年鍛冶職人やっとると思う、カタナくらい知っとるわ!」
「すまない、貴方も知ってると思うがカタナはかなり珍しい武器だ普通の鍛冶師だと知らない者も居ると思った、許してくれ」
自分の質問に気分を害したガインに素直に謝罪し理由を伝える、この世界にはアストルが倒した風見健吾の様な異世界からの転移者が稀にやって来る、その中に昔日本の侍らしき人物が来て刀をこの世界で再現させそれが時間と共に普及していったのだ
しかし刀の扱いの難しさに徐々に衰退していき今ではその侍の子孫が暮らす東の島国でしか殆ど扱っていなかった
「まぁ確かに、珍しくはあるな」
「刀の事を知ってると言う事はガイン殿は作れると考えてよろしいか?」
「おう、作れるぞ」
「それなら俺の得物は太刀でお願いします」
「タチ?何じゃそりゃ?」
「簡単に言うと刀をデカくした物ですね」
ガインに大まかな太刀な説明をする、ガインも話を聞いて面白いと作る意欲を高める
「お前さんの得物は分かった…で?そっちのバーバリアンはなんにするんだ?」
「オルトの武器か…何が良いだろうな…」
今までちゃんとした武器を扱った事の無いオルトにいきなり持たせても十全に扱えない、かと言って今後も素手のみと言うのはよろしくない
「まぁ、訓練すれば問題ないか」
扱った事が無いのなら扱えるように訓練すればいい、ここに来るまでの道中にも軽く体術を教えていたので武器の扱いも同じ様に教えればいいと思い至ったのだ、ただ…アストルの呟きにオルトが一瞬体をびくつかせていたが…
「俺が決めてもいいが、オルトお前は何が良い?」
「おいらはアストルを守れる武器が欲しい」
久しぶりに話すオルトの言葉は流暢になっていた、村に入れない間アストルが矯正したのだ
「守れる武器か…何が良いだろう…」
「そいつは器用なのか?」
「ん?いや、見ての通り力は強いが器用とは言い難いな」
「それなら、大剣でいいんじゃないかのう、力があれば簡単に扱えて腹の部分を使えば敵の攻撃も防げる」
「確かに、その方がオルトにあってるな」
ガインの提案でオルトに合いそうな武器が決まる、扱い方については後で特訓すれば良い
「それじゃ武器の注文は分かった、次は防具だったか…と言っても儂は武器作りが専門で防具はそこまでじゃないんだがな」
「俺は動き易い方がいいので手甲と脛当てで十分です、オルトは隙が多くて前で戦うのが多いのでしっかりした物がいいのですが」
「それならプレートメイルがいいかもな」
「それでお願いする」
「はいよ」
これで武器と防具の注文が完了した、しかし最も重要な事が確認でいていない
「それでなんだが、今注文したもの全部合わせると費用はどれ程掛かるだろうか?」
「そうさな、本当はネーシャちゃんを助けてくれた礼にただって言いたいところだが
すまない、半額にするくらいしかできない」
「構わない、むしろ半額になるなんて破格の条件だと言える」
「すまねぇな、全部合わせて80ゴールドだ」
「!!!(た、高い、雑貨屋で買い物して残ったのが120ゴールド、半額にならなかったら160ゴールドも払う事になって足らなくなる所だった…)」
ガインから提示された金額に面食らうアストル、多少の金額は覚悟していたが予想以上だった、この時アストルは思いもしなかった、既製品ならいざ知らずオーダーメイドで注文したがために高くなったという事を
「どうした?もしかして払えないのか?」
「いや大丈夫だ、これで頼む」
そう言ってアストルは懐から金の入った袋を取り出し80ゴールドを渡す
「確かに受け取った、出来上がるまで暫く掛かる…大体10日程」
「分かった、出来上がるまで大人しく待っている」
「ただにできなかった分全力で良い物を作るから期待しとけ!」
そう言ってガインは店奥の作業場に入っていった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます