第46話 鍛冶屋
「お買い上げありがとうございました~♪また来てね♪」
大量の商品を購入してナタリーに見送られながら店を出るアストル達、その姿は店に入る前とは大きく変わっていた、腰に布1枚というワイルドな装いから一般的な麻でできた服を着ていてローブも羽織っている
「ほう、見違えたな、似合っているじゃないか」
店の外で待機していたガーネットが微笑みながら感想を告げてくる
「ありがとう、大体の物は買い揃えたがもう二つ買いたい物があるんだがいいか?」
「えぇいいわよ、何かしら?」
「武器と防具が欲しい」
「「………」」
要望を伝えた後二人の間に沈黙が訪れる
衣類や調味料、調理器具などは簡単に許可できる、しかしながら武器となれば話が変わってくる、いくら友好的だろうと魔物である、それ故武器等与えれば厄介な事になりかねない
「…いいだろう、私は貴殿を信頼している…だが、一つ約束してくれ村の中では武器を持ち歩かないと」
「分かった、この村に滞在中武器の類いは持ち歩かない」
「ありがとう、それでは案内するからまたついて来てくれ」
そう言ってガーネットは歩き出す、日も出て明るくなった為村人たちが起き朝の作業を始めていた、やはり魔物であるアストルにどこか怯えた様子で視線を向けてくる、極力これ以上に怯えさせない為に気配を薄めて大人しくガーネットについて行く
そしてガーネットについて行くと鉄を叩く音がしてくる、到着して家は大きな煙突が付いていて煙が出ていた
「ここがこの村唯一の鍛冶屋だ、村の人間は皆ここで武器や防具を整えている、オーダーメイドも受け付けているから貴殿の体に合った防具も作ってくれるだろう」
「ありがたい話だ、オルトはともかく俺は体が大きいからな」
「はは、確かにそうだな、では入るとしよう」
ガーネットが鍛冶屋の扉を開けるとかなりの熱風が吹き付ける、金属を叩く音も激しく鳴っており活気づいていた
「ガイン爺!客を連れてきたぞ!」
「………」
「おい!聞こえないのか!」
「………」
「おいって!!」
「………」
作業に集中している為かガーネットの呼び掛けにまったく反応せず一心に鉄を打っている
「…はぁ、すまない毎日鍛冶作業してるのと歳でどうやら耳が遠くなっているようだ」
「儂はまだまだ現役じゃよ!」
「ひゃっ」
呼び掛けに反応しないので諦めてこちらに謝罪していると、後ろから突如ガインと呼ばれた鍛冶職人の老人が現れあろうことかガーネットの臀部を撫でたのでかわいらしい声が漏れる
「こんの…クソ爺!!!」
「フゲッ」
当然ガーネットがそれを許すはずもなく、渾身の右ストレートがガインの顔面を捉え打ち抜く、勢いよく吹っ飛んで溶鉱炉用の炭の山に突っ込む
「お、おい、大丈夫なのか?やり過ぎでは?」
余りに綺麗な吹っ飛び方に心配になるアストルだったが、未だ怒り収まらないガーネットが目をギラつかせながらこちらに微笑みかける
「平気だこの爺は殺しても死なんゴキブリなのだから」
「そ、そうか」
余りの殺気にたじろぐアストル、そうこうしているとガインが炭の山から這い出てくる
「相変わらず容赦ないのぅガーネットちゃん、少しは老人を労わってくれてもええじゃろ」
「変態スケベ爺はぞんざいにしても良いと世界の真理で決まっている」
とんだ真理だと思うアストルだが、わざわざ自分から藪をつつく趣味は無いので黙っている
「やれやれ、それで?そっちのオーガはなんじゃ?」
「…ふぅ、彼らは妹のネーシャを救ってくれたアストルとオルト、武器と防具が欲しいと言うのでここに連れてきた」
「ほう、野良のネームドとは珍しい、それにネーシャちゃんを救ってくれた恩人と言う訳か、それならたんと御礼をはずまんとな!」
そう言いながらガハハと盛大に笑うガインだった
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