第45話 買い物
村への入村許可が出て入る事は出来たが、まだ日が昇っておらず村人が家の中に居るので村に来たという感じがしなかった
「それじゃあアストル、すまないが私に付いて来てくれ…くれぐれも離れんようにな」
「あぁ」
言われずとも分かっている、何故ならアストルとオルトを囲むように物陰からこちらを射殺さんばかりの視線を感じるからだ、下手な行動をすれば面倒な事になると考え黙ってガーネットの後に続く
そうして少し歩いて目的地と思われる一軒の建物に着く
「ここがアストルの所望する衣類や道具なんかを取り扱ってるこの村唯一のお店よ」
そう言ってガーネットが紹介した目の前の建物は他の家より一回り大きく、扉の上にこの世界の文字で【雑貨屋】と書いてあった
「お店の店主には事前に説明しといたから安心して入って頂戴」
「ありがとう入らしてもらうね」
アストルは一言言ってから雑貨屋に入店する、雑貨屋の中は綺麗に各種分別された様々な商品が棚に並べられていた
「いらっしゃいオーガさん」
入店してすぐにこの店の店主であろう人物に声を掛けられる
「私はこの店の店主やってるナタリーよ、よろしくね♪」
「俺はアストル、後ろのバーバリアンは仲間のオルト、早速で申し訳ないが俺たちは今持ち合わせが無い、なのでこちらが持ってる魔物の素材を売って金銭に変えたいのだがいいだろうか?」
「…話には聞いていたけどオーガに丁寧な話方されるのは正直驚きを隠せないね…」
「俺に名前をくれた人に教えられた、それにただでさえ相手を威圧する外見をしているのだから話し方くらい気を遣わねば」
「そうなのね、とてもいいことだと思うわ、紳士的な男性は評価高いわよ♡」
「…そうか」
なんとも反応に困る事を言われ気恥ずかしく思う
「世辞はいい、それで?素材を買い取ってくれるのか?」
「照れちゃって可愛い♡いいわよ、素材の買取は元々していたしね♪」
素材を買い取ってもらえるようなので今まで狩ってきた魔物の素材を順に出していく
「お、驚いた…結構な量貯めてたのね」
予想以上の素材の量に驚きを隠せないナタリー、しかし流石は商売人と言うべきかすぐに冷静さを取り戻し素材の品質確認を始めた
「どれも高品質な素材ね、丁寧な剥ぎ取りで下処理も完璧、どれも高く買い取らせてもらうわ♪」
「ありがたい、大丈夫そうならこちらも商品を見てもいいかな?」
「えぇ、いいわよ、じっくり選んでちょうだい♪」
許可をもらったのでナタリーが査定している間に買いたい商品を選んでいく
食品から衣類まで様々な商品の中からまずは自分とオルトの服を選ぶ
「しかし、服を選ぶにしてもどうするべきか、進化すると体が変化するから出来るだけ大きいサイズの方が良いか?」
現在アストルの進化は一時的に止まってはいるものの今後しないとは限らないしするつもりでいる、その為進化後に体の変化によってせっかく買った服が切れなくなる事態が予想された
「…まぁ、今すぐどうこうじゃないんだしいいか、今が重要だからな」
そう言って今の自分たちに会うものを探す、その他にも今後必要となりそうな物を探して選んでいく
「こっちの査定は終わったわよ~」
そうこうしているとナタリーから声が掛かる
「品物の品質も良いし数も多い、そしてアストル君の紳士的な態度を加味して200ゴールドでどうかしら♪」
「そんなにか」
提示された金額に驚くアストル、この世界の通貨として用いられる硬貨は大きく分けて5つ、【プラチナ】【ゴールド】【シルバー】【ブロンズ】【アイアン】となっている
日本円に直すと【プラチナ】が1枚1億円、【ゴールド】が1枚1万円、【シルバー】が1枚千円、【ブロンズ】が1枚百円、【アイアン】が1枚十円になる、つまりナタリーから提示された金額は200万円と言う事になる
「ジャイアントスネークとフォレストスパイダーは分かるが他のモンスターの素材はそんなに高くないだろ」
「えぇ、確かにその二体の素材は他の素材より高いわ、でも他のだってそんなに悪くないわよ、ホーンラビットやフォレストウルフなんかの毛皮は防寒着として重宝するし、フォレストリザードの皮は良い防具なる、オークは食品として人気があるわ」
「なるほど、需要があるからこの値段なわけか」
ナタリーからの説明で腑に落ちたアストル、アガレスとの生活である程度の知識は得たが魔物素材の需要などは森の中で自給自足の生活をしていたので分からなかった
「それじゃあ買いたい商品持ってきて、今なら安くしてあ・げ・る♡…少しだけね♪」
「分かった、お言葉に甘えよう」
そう言って、事前に選んでいた商品を取りに行くのだった
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