第43話 威嚇射撃
無数に飛んでくる矢を躱したり弾いたりして防ぎつつ何とか誤解を解こうと声を掛ける
「すまないが矢を射るのを止めてくれないか、此方はそちらと敵対しようとは考えていない」
ここは冷静に落ち着いて声を掛ける、ここで慌てて声を荒げたり暴れてしまうと余計ややこしくなるし村への招待が完全に無くなってしまう
此方の落ち着いた対応が功を奏したのか徐々に飛んでくる矢が減っていきついには攻撃が止む
「俺の名前はアストル、この近くに待機させているもう一人の仲間と共に旅をしている者だ、先刻悲鳴を聞きつけ助太刀の為ここに参った所存、貴殿らが到着するまでネーシャ嬢と話をしたので事の成否はそちらで確認願いたい」
アストルは両手を上にあげ戦闘の意志がない事を示しながら簡潔に状況を説明する、口調が変なのは昔見た時代劇を参考に誠意ある言葉遣いを意識してこうなった
此方の様子をうかがいながらも何やら話し合いをしているらしく、木陰の中から声が僅かに聞こえる、それからしばらくの後草木をかき分けて一人の女性が現れ耳を確認してネーシャと同じエルフだと分かる
「私の名前はガーネット、一応この集団のリーダーをやっている者だ、君の言ったことをネーシャに確認した所事実であることが分かった、しかし未だ君を信じる事はできない、その為村に君とその仲間を連れていく事は出来ない」
此方に対して油断は一切なく凛とした態度で有無を言わせぬ雰囲気が伝わってくる
「ネーシャ嬢にも伝えたかと思うが此方としても無理に伺うつもりはなく、一度村に戻ってから再三話し合って決めてもらいたい、決まるまでここを動かず待っているので」
アストルの言葉を聞いてガーネットは少し考え渋々その言い分を認め、この場に数人監視を残しネーシャやガーネットを含めた数名が村に戻る事になった
「それでは私達は一度村へ戻らせてもらう、どれ程時間が掛かるか分からんがここで大人しく待て、村に来ないのならばいつでもここを離れていいからな」
そう言ってガーネットと共に数人の気配が遠のいていく、残ったのはアストルと未だ隠れているガーネットの仲間数名、話もまとまり落ち着いたので近くに待機させていたオルトを呼ぶことにする
『オルトもうこっちに来ていいぞ』
『分かった』
念話を送ってから数十秒後オルトが飛んでくる、いきなり筋肉ムキムキのバーバリアンが空から降ってきた事に此方を監視していた者たちの驚きが伝わってくる
『話し合い、どうなった?』
「よく来たなオルト『オルト、出来れば念話を使わずに話そう、これからは共通語を交わして話す事も多くなる、折角言葉も教えたんだこの機会にちゃんと話せるようになれ』」
「『分かった』ハナシアイ、ハ、ドウダタ」
以前から言葉は教えていたので聞き取りは完璧にマスターしていたが発音はまだ発展途中だった、その為オルトが発した言葉は非常にたどたどしい物になってしまう
「取り敢えず向こうの話し合いが終わるまでここで待機だ」
「ワカッタ」
暫くここに滞在するので寝床を簡易的に作り焚火の用意をして本日の活動を終えるのだった
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