第40話 亜人種

『アストル、大丈夫か?』


 心優しいマッチョオークのオルトが落ち込むアストルを慰める


『大丈夫だ、これは一時的なものっぽいし…多分』


 自信はない、しかし何もしない訳にもいかないのでとりあえずは心を落ち着けて前を向く事にするアストル、ステータス画面に書かれてある進化停止の文字を信じて


『とりあえずお前だけでも進化しときなよ』


『いや、おらも進化を後回しにするよ、アストルが進化できるまで』


『その気持ちだけありがたく頂くよ、俺の事は気にせず進化して強くなれ、そもそもこの先進化し続けられるかも分からないし出来る時にやっといた方が良い』


『そうか…分かった、進化する』


 アストルの言葉に納得したオルトは素直に進化する事にした、再びステータス画面に意識を戻し進化先を選ぶ、今回アストルは特に口出しはせずオルトに任せる事にした


『よし、これに決めた!』


 オルトがそう言うと体が輝きだす、光に包まれたオルトのシルエットも徐々に変化していく、鍛え上げたオークの肉体よりも一回り小さくなり体躯は180程に、光の収まった先にはこれまでの様な毛に覆われた肉体ではなくまるで人間の様な物だった


 褐色の肌に黒い入れ墨が体の隅々まで入っており、発達した筋肉が不気味さを引き立ていた、まるで人間の様な見た目をしていた


『…オルト、一体どんな進化先を選んだんだ?』


『………バーバリアン…』


『成程、バーバリアンね…』


 アストルはこの種族の事を知っていた、アガレスの持っていた魔物辞典に記載されていた内容を思い出す


 バーバリアン:人間に近い魔物であり個体によっては普通に意思疎通ができる者もいる、しかし魔物であることは変わらず獰猛で気性が荒く戦闘意欲も高いのですぐに戦いを挑んでくる


 このバーバリアンの様に人の姿に近い魔物を亜人種と呼ぶ、ゴブリンやオーク、オーガなんかも人型と言う事で準亜人と言うくくりになっている、人の言葉を理解できるかできないかによって分けられたのだろう


 因みに、エルフやドワーフ等も魔物として扱われている、何故ならこの世界ではヒューマン以外の種族は進化する事ができ、逆にヒューマンは進化出来ないという性質からヒューマンが定義したらしい、進化出来ない代わりにヒューマンは様々な職業ジョブに就く事ができる恩恵がある


『こいつが一番強そうだったから』


『それで選んだのか、まぁ間違いじゃないよバーバリアンは弱い個体でもBランク相当の強さだって話だ、いい選択だよ』


 無事オルトが進化出来たことを確認しつつ今後の事について模索するアストル、本来であればまた進化を目指して魔物狩りをする所なのだが、まさかの歯止めをかけられそれもできなくされる


 オルトだけ魔物狩りを続けて次の進化を目指すのもいいが、それは本人が遠慮してしまいやらない、そんなこんなでこれからの事を二人で考えている


「きゃーーーーーー!!!」


 そうしていると本来こんな森の奥深くでは聞こえてくるはずのない悲鳴が聞こえてくる、アストルとオルトは互いに目を合わる


『行ってみるか?』


『行こう』


 決まったら即行動に移し動き出すアストル達、悲鳴が聞こえてきたと思われる方へと

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