第34話 戦闘
朝になり森に光が差す、眠りについていた生き物たちが起きだし思い思いの生活を送る、二匹のホブゴブリンもまた地中から這い出て起きだす、大きなあくびをしたり体を伸ばしたりしてからどちらともなく動き出す
『軽く飯を食べたら後ちょっとレベル上げよう、もう少しで進化できるし』
『了解、そうしよう』
既に手慣れたもので軽食を取りながら移動して魔物の居る場所に向かう、昨日同様魔物を確認したら速攻で狩りレベルを上げていく
動き出してから3時間ほどした時突如横槍が入る、魔物を狩り終えた直後近くの茂みから石がオルトに向かって飛んでくる、危機察知のスキルを持っているオルトは石に気付き余裕をもって避けられた
「あれ~?今の避けたの?雑魚ゴブリンのくせに?」
ついに風見健吾と二度目の邂逅を果たす、見た目の変化は特にないがしかし、確実に前回合った時よりも強くなっているのが分かる
「よく見たらただのゴブリンじゃない?昨日殺した奴よりましな体してる」
健吾はじろじろとこちらの体を見ながらゆっくりと近づいてくる、無防備の様なそぶりを見せつけこちらの様子をうかがう、まるで襲って来いと誘っているかのように
「やっぱ他の雑魚とは違うみたいだな、こんなに誘っても襲い掛かってこないのは初めてだしな」
変に警戒させてしまったことに後悔したが無策で飛び込むよりもいいと考え思考を切り替える、何が起きても平気なように身構えながら戦闘態勢に入る
『オルト、こいつは今までの敵より確実に強い絶対油断するなよ』
『了解』
「お?なになに?スカスカの脳みそ使って作戦会議?無駄無駄~お前らじゃ一生かけても敵わねぇよ!!」
そう叫びながら何かの予備動作をする健吾、それを黙って見過ごす程間抜けではない、相手が何かする前に動きを封じるのは戦いの基本と言える
「馬鹿が!オラッ死ね!」
健吾はアストルの動きに合わせて動きカウンターの取れる位置とタイミングで反撃する、しかしこの反撃を見るのは二度目なのであらかじめ予想の出来た反撃に対応する事が出来た
「ぐふっ…てめぇ、雑魚のくせに俺の攻撃避けてんじゃねぇよ!」
アストルの攻撃が健吾の腹部を直撃したが相手のカウンターを避けての攻撃で流石に体勢が崩れそこまでのダメージにならなかった、逆に痛みで気を取り直した健吾が怒りながらも冷静に警戒心を強めていった
「クソがっ、さっさと死ねぇ!」
そう言いながら腕を突き出し手のひらをこちらに向けてくる、素人目にも何かを打ち出してくると分かる行動
ここでとれる選択肢は三つ、一つ目が左右どちらかに避け攻撃の射線から逃げる一般的な行動、二つ目は攻撃が来るのをその場で待ち対処する一歩間違えれば死ぬ行動、そして三つ目が相手の懐まで直進するこれまた危険な行動だ
この時何か嫌な予感がして左右に避けるのをやめたアストルは三つ目の選択肢を選び健吾に向かって直進する、この行動に健吾は驚きはしたもののすぐに顔をゆがめて不気味ににやける
「馬鹿が!はい死んだ!!」
その声と同時に健吾の手のひらから霧状の毒を噴出する、その毒は勿論猛毒なのだが酸性も強く触れれば即座に皮膚がただれて肉が削げ落ちるだろう
『効けばの話だがな』
毒霧の中から悠然と姿を現すアストル、衣服はところどころ溶けていたがアストル自身の体には一切の傷が無かった
「なっ!?ゲフッ!!」
渾身の猛毒が全く効かなかった事に驚愕しその場で固まってしまった健吾の顔面に今度はしっかりと腰の入った拳を叩き込むことに成功する、その一撃で面白いようにきりもみ回転しながら吹き飛び近くの木に激突して止まる
『相手が悪かったな、俺じゃなきゃ効いてただろうよ』
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