第30話 暗雲
『美味かった…もうお腹いっぱい』
『5回もお代わりしたんだ腹いっぱいで当然、じゃなかったらこれから大変だぞ』
一口蛇の蒲焼きを食べてからオルトの食欲が爆破して無我夢中で食べ、それに合わせるようにアストルは素早く蒲焼きを量産していった
『そうだオルト、もう一回ステータス見して』
『分かった』
名 オルト 種 ゴブリン
Lⅴ 11/15
HP:380/380 MP:41/41
力:F 守:F- 速:F- 技:G 魔:G-
【スキル】
木の実拾い Lv1 逃げ足 Lv1 勇気 Lv2 格闘 Lv1
【称号】
木の実コレクター 俊足 変わり者 ネームド
『無事にレベルアップ出来たみたいだな、新しいスキルも手に入って結果は上々って所か』
『おいら強くなったか?』
『あぁ、順調にな、このまま更に獲物を見つけて倒すのを繰り返してさっさと強くならなきゃ何も出来ないからな、でも今日はもうここまでにして寝るか』
既に辺りは薄暗くなってきておりこれ以上の戦闘は危険なのでやめる事にした、自分一人なら問題はなかったがオルトと一緒にとなるとそうはいかなかった
『なら寝床探さなきゃ』
『いやここで大丈夫だ名込みを襲われないように地下に身を隠して隠蔽魔法で誤魔化すから』
『?よく分からないけど分かった!』
オルトの答えに苦笑いを浮かべて呆れるが改めて説明するのが面倒だったため放置する、そして我が事ながら魔法が便利な事を再認識する、特に土魔法は応用が利き使用頻度がダントツだ
『しっかり学んどいて良かったわ』
アストルは一言つぶやいて魔法を行使する、自分とオルトが入っても余裕がある空間を地中に作りそこに入る、空気穴だけ残して入り口を塞ぐ窒息しないように風魔法で空気を循環させる
『さて、後は隠蔽魔法をかけて終わりっと、そんじゃおやすみオルト』
『おやすみ?』
言葉の意味が分からなそうだったが寝れば勝手に理解すると思ったアストルはそのまま静かに眠りについた、そんなアストルを見てオルトも黙って眠ることにした
~???~
「ん…んぁ?どこだここ?」
そこはただただ白く広い場所、自分の意識だけがそこにあった
『こんにちは
真っ白な空間で突如背後から声を掛けられ振り向く、するとそこには今までの人生でお目にかかった事が無い程の絶世の美女が居た、そして一目見てどす黒い感情が自然と沸き上がってくる
(欲しい…この女が欲しい!滅茶苦茶にしてぇ!隅から隅までしゃぶり尽くしてぇ!)
下卑た男の感情が溢れ出し周りを黒く染めていく
『これ以上私の神域を穢さないでくれますか?』
黒く染まりつつあった中で凛と澄んだ声が響きたちまちに黒を白が塗りつぶす、黒の中心に居た風見健吾は身動きがとれなくなりまるで全身を鎖で縛られている様に感じた
『はぁ…やはり幾ら資質が有ろうともこの様な屑を送るのはやめた方が良いのでは…』
美女は一人愚痴をこぼす様につぶやく
『まぁいいです、貴方にはこれから今まで住んでいた世界とは別の世界に行って貰います、決定事項ですので拒否は出来ません』
(は?ふざけるな!!)
突然の事に憤慨する健吾、しかし声を出す事が出来ずそのまま進む
『貴方に与えられた義務は異世界に行く事のみ、それが済み次第自由にして結構貴方のお好きにどうぞ』
(あ?…面倒臭ぇ事がないならそっちの方が楽か?)
先程とは一変して興味を持つ健吾は上機嫌になる
『一応貴方に合うスキルが具わる様にしてあるので後ほどご自分でご確認ください』
(あ、おい!)
美女が一方的に告げると謙吾の真下の地面が輝きだす、輝きが消えると謙吾も消えていた
『…はぁ…まったく…何故私がこの様な事を…』
美女はしわの寄る眉間を解しながら一人溜息を吐きながら愚痴を零す
『………早めに死んでくれないかしら……』
美女は見た者が凍える様な恐ろしい視線で健吾の居た場所を睨め付けながら一人呟く
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