第Ⅱ章 ~二度目の一歩~
第24話 第一目標
「……ここは…」
アストルは気が付くと森の中に立っていた、辺りを見渡しても草木しか無く流れる風に揺らめくだけだった
「そうか、また師匠の予想が当たったみたいだな」
慌てることなく冷静に思い出す、アガレスと過ごした8年間に二人は色々と試していたのだ、まず最初に行った修行はレベル上げだった、それもそのはず何せレッサーゴブリンと言う称号にも書かれている文字通りの最弱の魔物、明らかに修行するのに適していない
「俺が進化出来ないって知った師匠の顔は傑作だったな」
その時の状況を思い出して笑いが込み上げてくる、アストルが進化出来なくなったので今後の修行について大きく修正することになったアガレスとしては堪ったものではない
そこからはアストルをどうにか強化できないか試行錯誤の連続だった、そんな中でたどり着いた答えが【セーブ&ロード】と言うユニークスキルだった、何度も人生を回帰してやり直せる破格のスキル、そんなスキルに最後の希望を託したのだ
「レベルMAXで尚且つスキルと魔法を限界値まで育て上げてから寿命で死ぬ、こんなとんでもない鬼畜設定だなんて俺の体ふざけてる」
実際に何度か回帰して試したがこの方法以外上手くいかなかった
「師匠に報告に行きたいけど、今回は流石に殺されかねない」
今のアストルは20年もの修行で培われたスキルと魔法がある、それをアガレスが見れば危険な魔物と判断されて問答無用で殺しに掛かる事は明白で、アガレス本人も生前に言っていた事だった
「まずは師匠に殺されないぐらい強くなってから会いに行くか」
ガサガサ ガサガサ
「きゅ?」
アストルが第一目標を決めたその時、近くの茂みから音がし始める、そして茂みの中から白くふわふわしたかわいい生き物が出てきた
「ほう、まさかこれからの第一歩目がお前とはな…角兎!!」
「フンッフンッ」
この世界に来て初めて事故ではなく意志によって殺された相手、まさに因縁の相手と言える
「フンッ!」
「ほい」
バクンッ
しかしその因縁は昔の事、地面を蹴りまっすぐアストル目掛け跳躍した角兎は到達する事無く突如現れた大きな口に食べられた
「ご馳走様でしたっと」
まるで自分の手足の様に【暴食】を扱うアストル、角兎をもぐもぐしながら両手を合わせる
【ホーンラビットLv3の死亡を確認、経験値を7獲得】
「ん~、少ない…もっと強いやつ探さないと」
アストルはそう言って次の獲物を探しに森の奥に進んでいった
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