第19話 試食

「すまんすまん、儂が悪かった、ちゃんと説明するからそう怒らんでくれ」


(最初からそうしてくれ…)


「今儂が使おうとしていたのはドレイン魔法、相手のHPやMPを任意の数だけ吸えるんじゃ、これを使えば安全にお主の体力を減らせるじゃろ?」


 アストルからの問いに観念したアガレスは簡単にさっきの行動を説明した、それを聞いたアストルはジト目でそんなに簡単な説明なら最初からしろよと訴えかけていた


「じゃから悪かったって言うとるじゃろ、それより早くやってしまおう正確にスキルを知ることは必要な事じゃ」


(はぁ…分かったやってくれ)


 アストルはその場に座り胡坐をかく、そしていつでも来いと身構える


「実はもうかけたんじゃ、魔法」


(は?)


「お主が儂の呪文を止めえた時には既に魔法を使った後でな、次にお主に食べさせるものを出そうとしてたんじゃ」


 そう言われてアストルはステータスを確認する、すると言われた通りHPとMPが残り1になっていた


(何も感じなかったがそれが普通なのか?)


「いや、本来なら何かしら影響が出る、HPだと眩暈や吐き気などの症状が出て、MPなら気絶するはずじゃ、そうならんのは儂が事前に保護魔法を使っておいたからじゃ」


(そうだったのか…さっきは怒って悪かった、ありがとう)


 アストルはアガレスの話を聞いて素直に謝罪して守ってくれたことに礼を言った、急な事にアガレスは驚き目を大きくして唖然としている


「謝る必要はないぞ?勝手に魔法を使うのがマナー違反なのは常識じゃった、長らく人里を離れとったから忘れてたわい、しかし素直に自分の非を認められるのはそうそう出来る事ではではない」


(分かった、気にしないでおく、それより俺は何にスキルを使えばいいんだ?)


 何だかこっ恥ずかしくなったアストルは話を進めるべくスキルの対象を聞く


「うむ、こいつを食うてみよ」


 そう言ってアガレスはアストルの目の前に一体の豚を転がす、ただ、その豚は人の様な体をしていた


「BGYEEEEEEEE!!!!」


 手は後ろで縛られ足もきつく縛られた人型の豚は耳を劈く酷い鳴き声を上げている


「これはのオ「BGYEEE!」で「BCYAAAA!」なのじゃ」


 豚がうるさ過ぎて何も聞こえないアストル、それでもお構いなしに説明を続けるアガレス、しかしすぐにアストルが聞こえていないのをさっして豚を魔法で眠らせて黙らす


「すまんすまん、聞こえんかったなもう一度説明する、この顔がブタで体が人間の様な生き物はオークといってお主と同じ魔物じゃ」


(オーク…これ本当に食べられるのか?)


 アガレスの説明を聞いてじっくり観察してから疑問を口にする、人型なのもそうだがそもそもくえるのか疑問だった


「安心せい、オークはちゃんと食用として人間に重宝されてるので食しても問題ない、それにお主のスキルなら味も関係ないじゃろ」


(確かにそうだけど、気分的に嫌なんだよ)


 そう言いながらアストルはスキルを使用する、すると先程と同様巨大な口が現れオークに向かって大きく開く


 バクンッ


 大きな音と共にオークは食べられた、血の一滴すら残さず…

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