第18話 稀
「見事に丸呑みじゃのう、跡形も無いわい、それでお主はどうなんじゃ?
スキルを使って何か反応はあるかの?」
アガレスは床に転がる残骸を見てから次にアストルを見る、そして何か変化が無いかを聞く
(自分の意志でスキルを使ったのが初めてだからよく分からない、しいて言うなら空腹感が無くなったのと体が軽くなったように感じる)
「ふむ、と言う事はこのスキルには普通に食事と同じ効果と体力を回復する効果があるのかもしれぬの、もしかしたら魔力も回復するかもしれん、これは控えめに言ってとんでもなく有用なスキルかもしれないのぅ…」
アガレスは若干興奮した様子で自論を述べる、自分の知らないスキルの究明、賢者の名を冠すアガレスにとってそれは大好物であった
(魔力が回復出来たらそんなにいいのか?)
「そりゃそうじゃ、魔力も体力も本来は自然回復による物かポーション等の薬品によって回復する、そして両方ともデメリットが存在する、自然回復は回復にかかる時間が長く魔力を多く持つ者は完全回復に一日以上かかる、ポーションの方は服用すれば瞬時に回復するが大量に摂取すると逆にダメージを受けてしまう副作用がある…あと不味い…」
(最後のが一番の理由っぽいぞ…魔力の回復が大変なのは分かった、でも似たようなスキルとかあるんじゃないの?)
アガレスの高いテンションとは真逆にアストルは冷静だった
「確かに魔力を回復するスキルは他にも存在する、回復速度促進系が一番ポピュラーで多くの者が所有しておる、次に多いのが変換系じゃの体力を魔力に魔力を体力に変える事が出来るスキルじゃ、そして珍しい物で即座に体力を回復する再生やその魔力版のチャージ等がある」
(それじゃやっぱりそこまで珍しい物でもないんじゃん)
「そんな事はない、少なくとも儂が知らない新種のスキルじゃ、珍しくない訳無かろう、めっちゃ珍しいわい」
アストルが説明を聞いて落胆と呆れの声を出すとすかさずそれを否定するアガレス、人気かつ有用なスキルの新種が珍しくない訳がない
(てかまだ魔力が回復するかどうか分からないぞ?それに体力の方も本当に回復してるかも分かんないし)
「…確かにそうだな…よし、外に出なさい」
(え?…分かった)
アストルの話を聞いて少し考えてから勢いよく立ち上がりアストルを外に出るように促すアガレス、そんなアガレスに疑問を持ちながらも黙って従うアストル
「それじゃこれからお主に攻撃するからの」
(いや待て待て、いきなり過ぎるだろ、暴食のテストなのは分かるが俺の弱さも知ってるだろ?
あんたに攻撃されたら一撃で死んじまう)
いきなりの攻撃宣言に慌てて制止するアストル、呪文を唱えていたアガレスは渋々止まった
「なんじゃせっかく良い所じゃったのに、儂だってお主の弱さは理解しとる、死なない程度にダメージ与えるだけじゃ」
(普通そう言うのって事前に説明する物じゃないの?)
「なんじゃビビっとるのか?」
(ビビるに決まってんだろ、何も分からない状況で突然死ぬんだぞ?
ビビらない訳ねぇだろ)
からかうつもりで言った言葉にとてつもなく重みのある答えが返ってきた、実体験を基にした物なので非常に説得力があるものだった
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