第15話 整理整頓

(気になるって言われてもよく分からん)


 アストルからすればステータス自体初めてで、スキルに関して何がどういけないのか分からなかった、アガレスもそこは承知の上であったがあえて口に出して言ったのだ


「お主のスキルは通常よりも多い、そもそもスキルとはその者の経験と技術の結晶だ、その為本来であれば習得するのは非常に難しい」


(そうなのか?)


 アストルの場合死ぬ事で簡単に手に入れた為にスキルの事をそこまで重要視していなかった、死と言う通常あり得ない過程を経験したのが早くスキルを習得できた理由とも知らず


「そうじゃ、まぁ例外もあるがの、例えばスキル結晶が一番身近な例じゃの…」


 そう言ってアガレスは立ち上がり部屋の一角へ向かう、色とりどりの水晶が置かれたテーブルにたどり着くとおもむろに一つ水晶を手に取る、そしてそのままこちらに戻ってきて目の前に持ってきた水晶を置いた


「これが例外の一つ…スキル結晶じゃ、この水晶の魔力を取り込むことでこの結晶の中に入っているスキルを習得できる」



(それは確かに便利だな)


 まだまだこの世界の事を知らないアストルにとっていまいち凄さが分からなかったが、一応相槌を打っておく


「ほんとに思っとるか?…まぁよい、それよりこのスキル結晶を使ってみよ」


 そう言いながらこちらにスキル結晶をよこしてくるアガレス、しかし当然アストルに使い方など分かる訳もなく、それに気が付いたアガレスに使い方を教わる


 アガレス曰くスキル結晶に触れ中の魔力を吸い出すイメージをしろとのこと、アストルは言われた通りにやってみる、魔力に関してはアガレスとのやり取りで体で覚えていた


(何だか変な感じだな、体の中に何かがしみこむ様だ)


「それがスキルの魔力じゃな、そのまましばらくすると…」


【スキル結晶の使用を確認、スキル複合を習得しました】


アガレスの説明の途中で声が頭に響く


(複合スキル?)


「そうじゃ、そのスキルは貴重な物でな賢者と称えられる儂ですら持っとったのはそれ一つだけじゃ、しかも超危険なダンジョンの奥深くでしか手に入らん一品、感謝してくれてもいいんじゃぞ?」


(おぉ、ありがとな)


「軽くなぁい?」


 アガレスと軽口を言い合いながら複合スキルの説明を受ける


「そのスキルの使い方は簡単じゃステータスの画面から好きなスキルを選び複合すると念じればいいんじゃ」


(また念じるのかそればっかじゃん)


「基本的にスキルというのは念じて発動するものじゃ、物によっては念じずとも常時発動しているのもあるがな、そんな事よりもさっさとやってみなさい」


 アガレスに促されアストルはステータスを見ながら念じる


【複合するスキルを選びました、スキル冷静、恐怖耐性、ストレス耐性を複合します…新たに精神耐性(小)を獲得しました】


「どうやら上手くいったみたいだな」


 念じると同時にスキルが発動しスキルが複合され、新たなスキルができた


「このスキルをこのように決まった組み合わせで使うとより強力なスキルを作る事が出来る、お主の滅茶苦茶なステータスは見ておられんのでそのスキルで整頓しなさい」


 酷い言われようだがアストル自身もスキルが多過ぎて見づらかったので丁度良かった、そしてそこからはずっとスキル結晶を取り込む事に時間を取られた、全ての作業が終わったのが日をまたぎ朝日が昇ったのと同時だった


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