第14話 ステータス

(…今のが…名付け…)


「どうやら無事に名付けが完了したようだな、これでお主は正式にこの世界の住人になれたのう」


 零治ことアストルが名付けの衝撃に放心しているとアガレスがにやついた顔でアストルの顔を覗き込みながら声をかける


(…この世界の住人?ゴブリンはこの世界の者じゃなかったのか?)


 落ち着いたアストルがアガレスの言葉に聞き返した


「いや、これは物の例えじゃ名前を持つ者と持たない者にはそれほど差があるということじゃ」


(ステータスの閲覧権とか?)


「よく知っとるのうその通りじゃ、名持と名無しの違いの一つがそれじゃ、さっそく試してみるがいい、頭の中でステータスと唱えるだけじゃ」


 アストルはアガレスの言う通りに頭の中でステータスと唱える、するとアストルの目の前に硝子の板の様な物が現れる


(これがステータス…俺が見てもよく分からない、なぁこれってどうなんだ?)


 アストルは初めて見る自身のステータスが良いのか悪いのか分からず、アガレスに見て貰おうと板を向ける


「すまんが儂にお主のステータスは見えん、他者のステータスを見るには【鑑定】と言うスキルが必要じゃ、勿論儂は持っとるがな、それよりも良い方法がある、それがステータス開示じゃ」


(勿体ぶってないでさっさと教えてくれ)


「まったくせっかちな奴じゃのう、さっきと一緒じゃよ頭の中でステータス開示と唱えればいい」


 そんな事でいいなら先に伝えればいいのにと思いながらも頭の中でステータス開示と唱える、すると先程よりも大きな硝子の板が出てきた


「な!?何と言う事じゃ!!」


(ど、どうしたんだ?)


「くっ、くそ弱い…」


(ぶっ飛ばすぞクソ爺)


 アストルのステータスを見たアガレスが余りの弱さに大袈裟なリアクションをとるので間髪入れず突っ込む


(で、実際どうなんだよ)


 アストルは表示されてる物を見ながら再びアガレスに問う


 名 アストル   種 レッサーゴブリン

 Lv 4/10

 HP:10/10 MP;5/5

 力:H- 守:H- 速:H- 技:H- 魔:H-

【スキル】

 セーブ&ロード 思考加速(中)Lv4 冷静 Lv6 毒耐性(小)Lv1

 悪食 Lv1 恐怖耐性(小)Lv1 ストレス耐性(小)Lv1 骨強化(小)Lv1

 喉越し Lv1 衝撃耐性(小)Lv1 視覚強化(小)Lv1 身体操作(小)Lv1

 打撃耐性(小)Lv1 不動 Lv1 我慢 Lv1 瞑想 Lv1 成長促進 Lv1

 痛覚耐性(小)Lv1 物あさり Lv1 中級剣術 Lv1 中級棍術 Lv1

 刺突耐性(小)Lv1 素振り Lv1 不屈 Lv1

【称号】

 転生者 最弱の魔物 同族殺し 神狼のお気に入り 賢者の弟子 ネームド

【加護】

 神狼の加護 



「ふむ、はっきり言って弱い、それも尋常じゃない程に、人間の赤子ですらお主よりステータスは高い、じゃがスキルの数だけは普通の人間よりは多い、ちと偏っとるがのう」


(赤子より弱いって…)


 アガレスの言葉にショックが隠せないアストル、その場で膝と手をついて項垂れる


「何も赤子より弱いとは言ってないぞ、お主の方が体を自由に動かせるのだから」


(それでも数値では負けてるんでしょ?)


「まぁいいではないか、ステータスなど後で増やしていけばよい、それよりも儂にはお主のスキルが気になって仕方がない」


 まるで整理されていない部屋を見るかのようにアガレスはアストルのステータスを覗き込んでいた

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