第7話
☆☆☆
「反省会とかはないの?」
洋人君に誘われて近くのハンバーガーショップに来ていた。
まだ少し早い時間だから、店内にお客さんの数は少ない。
あたしと洋人君はセットを注文して、奥の4人席に腰掛けた。
「あるよ。でも後から聞くから平気」
洋人君はそう言って炭酸ジュースを口につける。
あたしは自分の前に置かれているハンバーガーとポテトとジュースに視線を落とした。
いいと言ったのに、洋人君が買ってくれたのだ。
仕方なくあたしもジュースに口をつけた。
シュワシュワとした炭酸が口の中に広がってさわやかだ。
「今日は本当にありがとう。来月も試合があるんだ」
洋人君はそう言ってハンバーガーにかじりついた。
あまりに大きな口なのであたしはつい見つめてしまう。
口の端にソースがついてしまって、思わず笑う。
「え、なに?」
「口、ソースついてるよ?」
口の右側を指差すと洋人君は照れ笑いを浮かべ、ナプキンでソースをぬぐった。
「それで、来月の試合も見にきてくれないか?」
ポテトと一口かじったところでそういわれ、あたしは目を丸くして洋人君を見た。
「行ってもいいの?」
「もちろん! っていうか、千奈が来てくれたら、また勝てそうな気がするんだ」
そう言う洋人君は少し頬を染めている。
その様子を見ているとなんだかこちらまで恥ずかしくなって、顔が熱くなっていくのを感じた。
目の前のハンバーガーはとてもおいしそうなのに、それ以上に胸がドキドキしていてなかなか手をつけられない。
「早く、食べようぜ」
洋人君は照れ隠しのようにそう言い、赤い顔をしたままハンバーガーにかぶりついたのだった。
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