第29話 JK×仲間×ですわ
「しょ、所有物……?」
急に何言ってんの、このロリっ娘?
「あ、いえ、違いますの! その、な、仲間……そう仲間なのですわ! 仲間としてお傍において頂けませんか!?」
手をバタバタと振り回しながら訂正。その後再び床に頭をつけるシンシア。
すごい音鳴ったけど大丈夫?
「わたくしはお姉様に気づかされましたの……自分の身を大切にする事を……お母様にも言われました。自分が生き残れたとしても、わたくしが酷い目にあっていたら耐えられなかったと……」
模擬戦後のお仕置きはシャッテさんを通じて、レイムーロ家にも伝わっているらしい。だからこそ呼び出された時めっちゃビビった。結局それは思い過ごしだったけど。
レオナルドさん達からも直接お尻ペンペン事案の話し振られていない──こっちから振るつもりもない──けど、まぁ、そこまで悪い感情は抱いていないはず……そう思いたい。
「わたくしは、自分を犠牲にしてでも母を救う。その行動を高潔な事だと思っていたのですわ。でも、それはその場だけの自己満足にしかならない。きっとわたくしも、そうなった後になって後悔したでしょう……その事がわかりましたわ」
レベッカさんの事を知った今、シンシアがあれだけの事をしたのは少しは理解できる。理解はできるが許容するつもりはない。
シンシアみたいなカワイイ娘がどこの誰かも分からない奴に汚されるなんて考えたくもない。
想像してしまって、なんだかイライラしてきた。なんでこんな時でも想像力豊かなんでしょう私。
「だから、それに気づかせてくださったお姉様と共に歩みたい、お姉様の強さに少しでも近づきたいのですわ! お願いします!」
仲間、ねぇ……ふむ。断る理由はないな。
私達の事情はすでに知っている。だからこそ実力に関しては一緒に『神樹の森』でレベリングしたり、私が何か装備を【創造】すれば解決する。
そして何より『お嬢様ロリ』だ。是が非でも、もっと仲良くなりたい。
……私としてはまったく問題ないけど、マリィはどうだろう?
なんだかんだ私と“進んだ関係”になった。そんな中、仲間が増えることに抵抗、というか嫉妬があったりするのかな?
嫉妬がないと寂しいけど、シンシアが仲間になるから嬉しい。嫉妬があるのもカワイイけど、シンシアを仲間にできないかもしれない。
……私、面倒くさい女だな。とにかく、マリィに聞いてみよう。
「……マリィはどう思う?」
「マリィは大賛成なのです! セツナ様を好きな人が増えるのは嬉しいのです」
両手を胸の前でギュッと握りながら賛成の意を示すマリィ。
たまに私が他の女の子に対してデレデレしてると、結構ムッとした顔するから嫌がるかなーと思ったけど大丈夫みたいだ。
「わ、わわわわわたくしは別に、お姉様のこと、す、すす、好きとか、いえ、勿論嫌いではないですわよ!?」
すんごい動揺してる。カワイイ。これはワンチャンあるな……はっ!?
「??」
大丈夫だった。
さっきのマリィの言葉的に、私の事を好きとか単純に信頼できる人ならいいのかな?
ともかく、マリィもオーケーなら問題なし。
「シンシア様、これからよろしくね?」
「っよ、よろしいのですか? その、マリィ様も……」
伺うようにマリィに確認を取るシンシア。
マリィは土下座しているシンシアに合わせてしゃがみ込み目線を合わせる。
「当然なのです! セツナ様を好きな者同士、仲良くセツナ様を支えましょう!」
「〜〜っはいですわ!」
互いに手を取り合い笑い合う幼女たち。ふぐぅ〜、てぇてぇ〜! 幼女といっても二人とも成人してるんだけどね。私ロリコンだけど、その辺りは気にしない、むしろ有り有りのロリコンなのです。
何より合法だからね。私もこの世界では立派な成人だ。合法……いい言葉だ!
それに今は『好き』の部分を否定しなかった。私は聞き逃してないからね!
「あ、あの、お二人とも、私のことは是非『シア』とお呼びくださいませ。勿論、わたくしが貴族とか一切気にしないで大丈夫ですわ!」
お、愛称って奴か。そういえば、レベッカさん達も『シア』って呼んでいたな。
成人だなんだ言ったけど、向こうではまだ高校生だったからね。様付けで呼ぶの慣れなかったから助かる。
「わかった。じゃあ改めて、よろしくねシア」
「よろしくお願いしますです! シア様!」
「は、はいですわ!」
私とマリィに手を引いて立ち上がらせる。いつまでも土下座のままなのは気が引ける。
「マリィ様、私の事は呼び捨てでかまいせん」
「それならマリィもマリィで大丈夫ですよ、シア!」
「〜はいですわ、マリィ!」
幼女達の仲睦まじい光景……マジで尊い。これを見れるだけでも、私得すぎるわ。
「それじゃ〜、このまま部屋割りなんかも決めちゃおうか?」
「はいです!」
「いいですわね。といってもお姉様が一番大きな部屋なのは確定事項ですわね」
「なら、そこにベッドを置いて皆で昼寝しようか?」
「大賛成です!」
「えっ、と……わたくしも良いのですか?」
数日ぶりのパンチラ跳びを披露しながら賛成の意を示すマリィ。それに対しシンシアは、若干俯き気味に聞いてくる。
「勿論。だって仲間なんでしょ?」
「──はいですわ!」
昨日までは見せず、今日の出合い頭にぎこちなくも見せてくれて、そして今本物の笑顔を見せてくれた。
その笑顔は今日見せくれた笑顔の中でも、とびっきり可愛らしく、まるで草原を駆け抜けるそよ風のような爽やかな笑顔だった。
「すぅー……すぅー……」
「……あの、お姉様?」
私を中心に『小』の字で異空庫から取り出したベッドに横になった私達。マリィは早々に寝息を立て、そんなマリィを起こさないよう、小さな声でシアが話しかけてきた。
「ふぁ……どうした?」
「重ねてのお願いで恐縮ないのですが……また誤った事をした時は、その……またお仕置きをして欲しいのですわ……♡」
「……え、あぁ、うん」
私の返事を聞いたシアは「くふふ〜」と変な声を上げながら私の胸元に顔を埋める。自らの腕を股の間に挟みながら。
あぁ、うん。
薄々気づいてた。
──この娘『ドM』だ。
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