第30話 JK×侵入者×変態




「ふぁ〜……」



 部屋に降り注ぐ太陽の光で目が覚める。背伸びをしながら周りを見渡すと見慣れない部屋だった。



「……あぁ、そうか。新しい家か」



 ここは昨日、レイムーロ辺境伯から頂戴した屋敷だ。


 昨日、マリィと仲間になったシアの三人で昼寝をした後、再びレイムーロ邸にお呼ばれされ夕食をご馳走になった。


 用意されていた料理は文字通りご馳走で、正式な名称はわからないが大きなテーブル一杯に並べられていた。



「さあ、好きなだけ食べて行ってくれ!」



 なんて言うもんだからひたすら食べた。新鮮な魚介類、肉厚のステーキ、じっくり煮込んだシチュー、瑞々しいお野菜。どれもこれも美味しくって私もマリィもお腹パンパンで、家に帰ったらお風呂に入ってすぐに寝てしまった。


 食事の時にシアが私達の仲間になるという話しも、お二人に伝えていた。



「あなたのすべてをセツナ様に捧げ、生涯尽くすのですよ?」


「わかっておりますわ、お母様!」


「うむ! 孫の顔を見れるのも時間の問題だな!」


「お、お父様……孫だなんて……ぽっ」



 そんな会話を家族でしていた。孫って……私はバッチコイなんだけど、仲間になるって話しだったよね?


 ともかく、親公認で仲間入りを果たしたシア。こちらの家に住むことも問題ないとの事で、今は私の隣で寝息を立てている。


 カワイイ……同年代とは思えない、小さな体にぷにぷにのほっぺた。私は実年齢なんて気にしない『ロリコン』だから同年代でも全然、問題ない。そんな事言ったら、反対側で寝ているマリィなんて超年上だからね。




「んむぅ……セツナ、さま、おはようです」


「……ん〜、おはようですわ、お姉様」



 二人を起こさないようにベッドを出ようと思っていたが、その前に二人が起きてしまった。



「おはよう。マリィ、シア」



 起きた二人に声をかけつつ、頭をそっと撫でる。



「はふぅ〜」


「んふぁ〜」



 撫でる度に漏れる艶めかしい声を堪能して部屋を出る。洗面所で顔を洗ってリビングにやってきた。



「おはようございます、セツナ様。どうぞ、お飲み物です」


「ん、ありがとう」



 リビングに備え付けられている椅子に座り、出された飲み物に口をつける。約一ヶ月ぶりに飲むミルクたっぷりで甘めのカフェオレが脳に染み渡る。昨日の宿屋に頼んでみたけど、甘さ控えめで物足りなかったところだ。ん〜……朝一はこれに限る。


 カフェオレに舌鼓をうっていると、マリィとシアもリビングにやってきた。



「おはようごさいます。マリィ様、シア様。お二人にもこちらをどうぞ」


「ありがとう」


「ありがとうです」



 彼女達の前にも同じカフェオレの入ったカップが置かれる。



「ふわぁ〜、甘くて美味しいですぅ!」


「ホントね。普段は紅茶なのだけど、これもいいですわね」


「ふふふ。私の朝の定番だよ。気に入ってくれてよかった」



 その後はみんな無言になって、程よく温かいカフェオレをゆっくり飲み進めていく。


 カフェオレを出してくれたメイドさんは、私の後ろに控えてその様子をジト目で見ている。
























「「何でここにいるの(ですの)!?」」


「あ、シャッテ様です!」



 まだ寝ぼけていたのか、今の今まで気付かなかった。昨日、出会ったばかりの青髪ジト目メイドが、何故か我が家で給仕をしていた。



「何で、とは?」



 こてんっと首を傾げて聞き返してくるメイドさん。ちょっと動くだけで巨乳が揺れる。



「い、いや、だってあなたはレイムーロ家のメイドさんじゃないの?」


「あー、そちらには先程、辞表を提出しておりますので問題ありません」



 はい?



「じ、辞表って貴女、我が家のメイドを辞めたというの!?」


「はい。レオナルド様も了承されています」



 シアがめちゃくちゃ動揺しながら質問するが、当のシャッテさんはどこ吹く風かと言わんばかりの態度で応答する。


 彼女が職場を辞めて私の家にいるのは驚いたが、そこまで動揺する程なのだろうか?



「という事なので、宜しければセツナ様に雇って頂きたく伺った次第です。軽くですが、私の有能性は分かって頂けたと思いますが?」



 私が困惑してるのを察してか、シアを放置して私に口を開くシャッテさん。家でメイドさんをやってくれると? 正直、この屋敷全体を見るのは大変そうだと思っていたから非常に助かる。助かるんだけどお給料とかはどうすればいいんだろうか。



「給金に関しましては、暫くは前職での貯金もありますのでお気になさらず。追々、決めて頂ければ大丈夫です」



 そ、そう? まだ冒険者としてまったく活動していないから収入がどうなるのか予想がついてないんだよなぁ……悩んでいるとシアが寄って来て耳打ちをしてきた。



「気をつけてくださいまし。彼女、ストーカー体質の変態ですわよ?」



 へ? マジで? 全然そんな風には……そういえばカフェオレが好きな事こっちにきて誰にも喋った事なかったはず。一昨日の宿屋でちょっと話したくらいか?



「お飲物ですか? 先日、宿で提供された物にご不満の様子だったので、甘党のセツナ様合わせて用意した物になります」



 ……こわっ!! 何で一昨日の事知ってんの? 何で私が甘党なのも知ってんの!?



「あまり大きな声で言えませんが、彼女はレイムーロ家において、メイドあると同時に優秀な『隠密』なのですわ。先日の犯人を見つけたのも彼女ですのよ」



 マジか!? それは超有能じゃんか。私達の経緯も同じ場所で聞いてたから知ってるし有りじゃないか? いやでも、シアがストーカーの変態って言う位だ。なかなかヤバい人なのかも。


 私が一人唸っていると、シャッテさんが何やら封筒のような物を差し出してきた。



「……これは?」


「ほんの気持ちです。お納めください」



 恐る恐る、封筒を開け中身を確認する。


 中には数枚の写真が入っていた。『写真』がある事にも驚いたが、そこに写し出されているモノに目が飛びてるのではないかと言う程驚いた。



「こ、これは!?」



 写真に写っていたのはシアだった。より正確に言うと『下着姿のシア』だ。


 背を向けているが上半身は何も身に着けておらず、彼女の白磁の肌が露わになっている。下半身には幼い体型に不釣り合いな、妖艶な白いショーツとガーターベルトを身に着けている。


 他の写真も口には出せないようなヤバい写真ばかり。



「雇って頂ければ定期的にご用意しますが、どうでしょ『採用!』ありがとうございます」


「お、お姉様!? それは何なのですの!?」


「わぁ〜、シャッテ様も仲間です〜!」


「よろしくお願いいたします、マリィ様。私の事はシャッテとお呼びください」



 食い気味に採用を伝える。シアが何か言っているが無視。いや、ドMのシアには伝えた方が悦ぶかな?





 こうして私は、レイムーロに来て僅か三日で住む家とお嬢様のロリっ娘とメイドのの仲間ができたのであった。






─────────────────────────────


 分けると短くなるので長めの話しになりました。


 これにて第二章終幕です。ここまでお読み頂きありがとうございます。



 第二章分の登場人物紹介の後、第三章になります!



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