第24話 JK×ですわ×模擬戦 ③




「──そこまで! 勝者、セツナ!」



 ──ウオォォォォォ!!



 アリアンヌさんの通る声で模擬戦終了を告げると観覧席から歓声が上がった。




「すげぇな、あの嬢ちゃん! 一体何者だ!?」


「C級トップのシンシアを圧倒したわよ!」


「シンシア様だってヤバいわよ……私だったら初撃で負けてる」


「ていうか何でセツナちゃんの一番『イイ部分』が見えないのよぉ! 何なのよ!?」



 などなど、様々な感想が飛び交う。私がルナイト──とマリィ──に施した『謎の光』がしっかりと効果を発揮していたみたいで何よりだ。邪な感情で見ようとする者には発動するようになっている著名なアレだ。回復術師のお姉さんには近づかないでおこう。



「シンシア、様、これ飲みますか?」



 『逆さ刀』を異空庫に直しながら回復薬を取り出しシンシアに差し出すが俯いたまま反応がない。



「わたくし、負けましたのね……」



 シンシアが『神樹の森』で無理をさせない為に私が勝った訳だけど、やっぱり非常ーーーに気まずい……!


 どうにかして理由を聞いて何かしら協力させてください。私の精神衛生上の為にも!



「ねぇ、シンシア様はどうし、えぇぇぇ!?」



 シンシアは俯いたまま体勢を替え、私に対して土下座してきた。



「……これは、異界の世界で伝わる『ドゲザ』という、ものですわ。相手に最大の敬意や謝意を示す姿勢、ですの」


「いや、そうじゃなくて……」



 それは知ってるよ。私の世界、というか日本で使われてる(?)ものだから。私がびっくりしているのは、なんで土下座をしているかであって。



「お願いが……ありますの。わたくし、を『神樹の森』に連れて行って下さいませんか!?」


「え、私が!?」


「はい……先の戦闘から高位の、冒険者だとお見受け致しましたわ。貴女なら『神樹の森』に入る許可証を持っているはず……ですの」



 いや、持ってはいないけど、そこを拠点にしてるから何か協力できないか聞きたいんだ。



「し、シンシア様落ち着いて!? まずは話しを……」


「何だってしますわ! この体だって好きにしていいですわ! お金だって体を売ってでも集めて来ます、幼い体型ですが処女であれば…………」





































「………………は?」




「ひぐっ!!?」





 今、なんて言ったこの娘? 体を好きにしていい? 体で稼いでくる? 処女を売りにするって??




 ──は?




 ──はァ??





「あ、あの……セツ、ナ、様……? わたくし、何か……気に障ること、を……」




 あぁ、ダメだ。



 この娘、私がキレてるのか分かってない。



 ──『分からせる』必要がある。




 私は持っていた回復薬の蓋を外し、半ば投げつけるようにシンシアに使用する。



「あぐ、何、を……回復? あ、ありがとうございます。ですがわたくしは、きゃ!?」



 シンシアが何か言っていたが無視。シンシアのお尻が私の前面に来るように小脇に抱える



「ちょ、ちょっと、何を──」



 抗議するように脚をバタつかせるシンシアだが、再び無視。


 空いている右手を振り上げ──シンシアのお尻目掛け、平手を叩きつける!



 悪い娘には『お尻ぺんぺん』だと相場は決まっている!



 ──バチィィィィィン!!



「うきゃぁぁぁぁ!!? え、えぇ、何、んぎぃ!?」



 何をやっているのか分かっていないところに、突然お尻に襲いくる衝撃に悲鳴を上げるシンシア。


 追加で更にもう一発入れた。



「だ、だきゃら、貴女何をぉ『バチィィン!』あぁぁぐ!?」


「ねぇ? 私が何に怒ってるのかまだ分からない?」


「わ、分からないから、聞こうと、いだあぁ!!」


「ほら、ちゃんと考えないとやめないよ?」



 一旦叩くのをやめ、シンシアに問いかける。



「ひっ、え、えっと、貴女の差し出した、回復薬を受け取らなかったか『違う』あきゃぁ!?」



 ほら、ちゃんとと止めないよ?



「んぐ……ふぅ、は、敗者のわたくしが、烏滸がましくも、願いを言っ……」



 ──バチィィン!



「あひぃい!? こぅ、高位の、冒険者だとバラし……」 



 ──バチィィィィン!



「んはぁぁぁ! ふぅー、ンっふぅー『遅い』ま、待っ」



 ──パチュン!!



「……んん?」



 回答が遅かったからお尻を叩くと、今までの乾いた音ではなく、何か湿が響いた。



「あ、あぁ、あぁぁぁ……」



 シンシアの脚を伝い、チョロチョロと水滴が滴り落ちて地面に染みを作り出していく。



「あぁ、漏らしたのか」


「あ、わたく、し……」



 シンシアの顔は痛みと羞恥心で真っ赤になっていた。息遣いが荒く、お尻を叩いた回数が増すごとに声もを持ってくる。



「はふぅ……ハァ、ハァ、んぅ」


「それで? 分かった?」


「か、体を、処女を売ると言った、から……?」


「正解!」



 ──パチィン!



「はひぃぃぃん!」


「私はね、女の子に無理やりそういう事をさせたり、する事が大嫌いなの! 女の子の心を蔑ろにする行為が大ッッッ嫌い! だから、貴女のその軽率な発言に、私は怒ってる……の!!」



 ──バチィィン! バチィィン! バチィィィィン!!



「はぐぅぅんん、んくぅ、はふぅぅん! せ、正解したの、に、何で」


「今までのは『分からせる』為。今からは『お仕置き』なの!」



「はひっ、くきゅ、んぐふ、んはあぁぁぁん!!」



 私はシンシアのお尻を叩き続け、間違いを犯さないよう徹底的に『分からせ』と『お仕置き』を叩き込む!!



「セツナさま!!」



 お尻を叩く腕に抱きつくように観覧席からマリィが慌ててやってきていた。



「ちょ、マリィどうしたの?」



 まだお仕置きの途中なんだけど……?


 マリィは私の耳元に口を近づけを伝えてくる。



「……」



 は? え、マジで?


 問い掛けるような表情をマリィに向けるとコクリと頷く。



「あ、あの……どう、せれましたの? その、もっと……叩いて……」


「……てる」


「な、何ですの? あ、の、お尻を……」


「私、『月涙花』持ってる」


「……ふぇ?」



 マリィが伝えて来たのはこれだ。


 シンシアが『神樹の森』にどうしても行きたがっていた理由。


 それが『月涙花』を手に入れる為との事だった。




「──えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇですわぁぁぁ!!!?」



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