第23話 JK×ですわ×模擬戦 ②

 戦闘シーンは三人称で行こうかと思っとります


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 ──ガィィィン!!




 シンシアは模擬戦開始から魔鉱石製の突撃槍ランスを振るい続けている。


 何度も攻撃を繰り出すもその尽くはルナイトの刀により弾かれ、受け流され、紙一重で回避される。



(何なんですのこの方……!?)



 初手を巨大な盾で防がれたと思えば、突如姿が変わった対戦相手。


 その姿はとても美しく、体に密着するような服のせいで彼女の魅力的な胸が強調されていて目を奪われてしまう。


 まるで『魅力』にかけられたように顔が火照ってしまうシンシア。



「ぐ、うぅ……!」



 攻撃が当たらないだけではない。彼女の放つ一撃一撃が重く、盾で受けても余波でダメージを受けてしまう。


 盾で受け、その隙をつき攻めるのがシンシアの戦闘スタイルなのだがそれがまったく機能しない。


 ルナイトの放った一撃を何とか盾で防ぐも、受け流しきれず大きく仰け反ってしまったシンシア。そこからルナイトの猛攻が始まった。



(これ、周りから幼女をいじめるようにみられてないかなぁ……)



 袈裟斬り、逆袈裟、胴斬りなど狙いを絞らせないように多彩な剣技を繰り出す。



 剣術を用いて悪と戦う変身ヒロイン、それが『月光剣士ルナイト』として生み出された姿だ。




 【名 称】ルナイト

 【種 族】変身ヒロイン

 【L v】32

 【職 業】月光剣士


 【耐久力】10000/10000

 【魔 力】103100/103100 ※

 【物 理】500

 【魔 法】50

 【防 御】100

 【俊 敏】200

 【技 量】400

 【器 用】347 ※


 【属性】時空

 【固有】創造魔法 

     賢者の叡智


 【称号】異世界人


  ※本体【南部 雪奈】に依存




 ルナイトの持つ武器、『逆さ刀』は模擬戦が決まった後に雪奈が【創造】で創り出した武器。特性として『非殺生』が付与されており相手の生命力の一割を切るとダメージを当たられないようになっている。更に言えば物理補正もゼロである。 


 しかし、いくら物理補正がゼロだとしてもステータスの差は歴然。このままだと敗北が濃厚。



「負け、られませんの……」



 闘志を奮い立たせる。


 自分は何の為に戦っているのか。



「負けられない……わたくし、は、のために、負けられませんの!!」


「っ!」



 ルナイトの袈裟斬りを無理やり反らし、【固有魔法】を発動させる。



 【旋嵐】

 防御の数値を物理・魔法に変換し、所有する武器に竜巻を円錐城に発生させる固有魔法。



「『旋嵐突撃テンペスト・チャージ』!!」 



 盾を捨て、突撃槍に竜巻を纏わせ放つ全力の突撃。



「あぶなっ……えぇ!?」



 ──ズガァァァァァン!!



 ルナイトはギリギリで『旋嵐突撃テンペスト・チャージ』を回避……したのはいいが、シンシアの勢いは止まらず激しい音と訓練場の壁に激突。



「ぐ、うぅ……うぁぁぁぁぁ!!」



 砂埃の中、立ち上がり再びルナイトに向かい突撃する。


 シンシアの【俊敏】は47と一番低い数値なのだが【旋嵐】によって生み出された推進力でその勢いは凄まじい。


 そんな勢いで壁にぶつかったシンシアの体には打撲の傷とによる出血が無数に刻まれている。




 ──ズガァァァァァン!



「はぁ……はぁ……」



 ──ズドドォォォォ!!



「んくっ……ふぅー、ふぅー」



 ──ガゴォォォォン!!



「はぅぅん! くふぅ……ふぅ!」


(何か、息遣いがちょっと変じゃない……!?)



 何度壁にぶつかっても、何度避けられようともシンシアの攻撃は止まらない。


 怪しげな息遣いをしているが、それはダメージによるモノ。次第に傷は増え、純白のドレスアーマーは土で汚れ血で濡れている。



「まだ、ま、だ……生命力ライフは、残っておりますわぁ!」



 すべての旋嵐突撃テンペスト・チャージを避けるルナイトだが、無傷ではない。


 竜巻を纏った突撃槍の攻撃範囲は広く完全に避け切れてはいなかった。



(っつ〜、このままやってても埒が明かない……そうしてまでも『神樹の森』に行きたいの……?)



 シンシアの体に刻々と刻まれていく切り傷は自ら発生させた竜巻によるダメージだとルナイトは見抜いている。



 彼女は【旋嵐】をまだ使いこなせていないのだ。竜巻の操作も突撃の制御も。だからこそ、負けるその時まで全力で突撃するのみ。



(傷だらけになっても必死に勝とうとしてる……ぽっと出の私なんかが勝ってもいいのかな……)



 ルナイト、雪奈は躊躇する。雪奈にとってこの模擬戦はただアリアンヌに言われて戦っているにすぎない。



(いや、違う。こうやって無理をする娘だから私が勝たなきゃいけないんだ)



 もう何度目か分からない旋嵐突撃テンペスト・チャージを避けたルナイトは『逆さ刀』を腰だめに構える。



「これで終わらせる」


「ま、けない、ですの……あぁぁぁぁ『旋嵐突撃テンペスト・チャァァァァジ』!!」



 残りの魔力をすべて込め、今までで一番の『旋嵐突撃テンペスト・チャージ』を放つ。


 頭部バイザーにはルナイトの攻撃範囲とシンシアが強調表示され、互いの距離が縮まるの数値で把握する。



「ルナイトは剣術の達人というで生まれた存在……その攻撃、すでに見切った!」



 ──ガキィィィン!!



 攻撃範囲に突撃槍の穂先が入ったと同時に『逆さ刀』で切り上げを放つ。


 甲高い音を響かせシンシアの突撃槍が宙に舞う。


 突撃槍が纏っていた竜巻はシンシアの手から離れた事で霧散し、地面に落ちる。



「あ……」



 シンシアの目に刀を最上段に構えるルナイトの姿が映る。


 左肩に振り下ろされる逆さ刀。


 すでに四割を切っていた生命力は、この一撃で一割にまで削られ終了を告げる言葉が訓練場に発せられた。



「──そこまで! 勝者、セツナ!」



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