第21話 JK×ドリル×ですわ




「はぁ〜……シンシア嬢、何度も言っているだろう。ここに来る時は事前にアポを取るようにと」


「存じておりますわ。その上で来ているのですわ!」




 お、おぉ……見事、見事なまでの傲慢お嬢様だ。



 私達がアリアンヌさんと話してる中、突如乱入してきた人物、シンシアというらしい。


 綺羅びやかなドレスを身に着けている彼女はマリィと変わらぬ小さな体の持ち主だ。


 育ちの良さを感じさせる艷やかなプラチナブロンドの髪を二つ結びにしており綺麗な巻き髪にセットしてある。睫毛が長く気の強そうツリ目はアメジスト色に輝いている。そして何と言っても傲慢な態度に『ですわ』口調!



 『傲慢高飛車金髪ツインドリルロリお嬢様』だ!



 私の中で『金髪ロリエルフ』と長年トップを争い惜しくも破れた『金髪お嬢様ロリ』が目の前に現れた……胸が、胸の高鳴りが止まらない!



「むぅ……セツナ様が何だかニヤついているです」


「え、私ニヤついてた?」


「はいです!」



 だってツインドリルだよ? ですわお嬢様だよ!?


 仲良くなりたいから話しかけたいけど、何か用事で来たみたいだし様子をみよう。



「……申し訳ないが、今は応対中だ。いつもの話だろうから後にしてもらえるかな?」


「応対? そこにいる頭の悪そうな平民とチンチクリンかしら。わたくしは貴族ですわよ。わたくしを優先しなさいな!」



 この部屋にいるのはですわロリ以外に四人。私とマリィ、アリアンヌさんにエレンさん。ということは……?



「頭の悪そうなのって私!?」


「ま、マリィはチンチクリンではないのです!」



 確かに見た目は派手かもしれないけど、お母さんとの約束で成績はそこそこいいんだけど!?


 マリィがチンチクリンって……言い方は良くないけど、そこがいいところじゃん!



「シンシア嬢!」


「うるさいですわ! そんなに大事な話でしたら以前からお願いしている許可証、いい加減発行するのですわ!」


「それこそ何度も言っているはず。『神樹の森』に入るにはB級が必須条件。シンシア様はC級なので許可証の発行はできません」


「でしたら私をすぐにB級に上げなさいな! すでにレベル23、C級ではトップですわよ!?」



 レベル23もあるのか。ここに来るまで参考程度に何人か鑑定してみたが一番高いレベルだ。衛兵の隊長さんなんてレベル6だったし……というか隊長さんより他の門番さんの方がレベル高かったな。


 ちなみにアリアンヌさんたちは鑑定していない。親切にしてもらっているから失礼かなと思って……いや、さっき話したばっかりだったな。【鑑定】は武器だって。


 ということで早速シンシアちゃんを【賢者の叡智】で鑑定。




 【名 称】シンシア・フォン・レイムーロ

 【年 齢】15

 【種 族】人間

 【L v】23

 【職 業】辺境伯令嬢/C級冒険者


 【生命力】5120/5120

 【魔 力】260/260

 【物 理】198

 【魔 法】72

 【防 御】218

 【俊 敏】47

 【技 量】232

 【器 用】107


 【属 性】風、土

 【固 有】旋嵐


 【称 号】辺境伯令嬢



 まさかの同年代!


 レベルだけでなく各能力値も高い。固有魔法まで持ってる。正面でぶつかれば私なんか簡単に吹き飛ばされるのが目に見えている。


 それこそステータスだけで言えばレベル48の黒ゴブリンよりも高い。といっても黒ゴブリンは集団で戦う魔物だから絶対に勝てるとは言えないかな。


 冒険者ギルドは魔物を狩るクエストを斡旋するのも仕事のはずだから、その辺りの事を考慮して制限をかけているんだろうな。




「ならばシンシア嬢。ここにいるセツナ君と模擬戦をして勝利したのならば、許可証を発行しよう」


「……はい?」



 ん? 今なんて? シンシアちゃんのステータス見てたから話し聞いてなかった。



(この如何にも弱そうな平民と模擬戦? わざわざそんな事をせずとも、わたくしの勝ちは決まっているようなもの……わたくしにはですのに……いえ、これはむしろチャンスですわ!)


「その話、乗らせていただきますわ!」


「よし。ならば二時間後、ギルドの訓練場にて模擬戦を行う。無論君が負ければ、今まで通り堅実に実績を積みB級になるまで許可証は発行しない」


「……わかっておりますわ!」



 シンシアちゃんが私の事をキッと睨みつけ、部屋を出ていく。


 私とシンシアちゃんが模擬戦をするのが確定したったぽいけど、いや、マジでなんでこんな事になったの? 私の意思は確認しないの?



「え、エレンさん……ごにょごにょ」


「あー、鑑定していて話を聞いていなかったのですね。鑑定しつつも周りの事を気にしなければいけませんよ?」



 まったくもってその通りです。



「単純な話しです。ギルドマスターもシンシア様も互いに譲らず平行線でした。そんな時にギルドマスターは貴女の事を思い出し、模擬戦を提案した。という事です」


「な、なるほど?」


「シンシア様は最近までこのような無茶な要求する方ではなかったのですが、急に『神樹の森』に入る許可を要求するようになったのです。理由も語ってくれません」



 先のやり取りからは想像しづらいが根は真面目な娘らしい。



「はぁ、まったく……セツナ君、すまないな。君に確認も取らずに色々と決めてしまって」


「そう思ってるんなら言ってくださいよ。私のステータスを鑑定したなら、私の貧弱さ知ってるんですよね?」


「まぁその通りなんたが、君のレベルが高いところをみるに、『神樹の森』で戦ってレベルを上げたのだろう? ならばそれを見てみたいと思ってね」


「セツナ様がサポートをしてマリィ様が戦った可能性もありましたが……マリィ様の反応を見るにそういう訳ではなさそうですし」



 マリィは模擬戦を止めようとはせず、話しが出た時からシンシアちゃんを憐れむような勝ち誇るような目で見ていた。


 チンチクリンって言われた事気にしてるのかな?



「わかりましたよ。戦います」


「おお、ありがとう! 勿論、この件は私からのクエストととして処理を行うから報酬も準備しよう」



 マジか! それは助かる。一応チヒロさんの残っていたお金を借りてきているけど、自分たちのお金が手に入るなら使わずに済む。




 さて、模擬戦か……今のままだと強力すぎるかもだから、何か用意しておこうかな。




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