第14話 JK×その後×それから ①




 ギガレックスとの遭遇戦から一ヶ月程がたった。



「マリィそっちに行ったよ!」


「はいです!」


『グルウァァァァ!!』



 今はマリィと森で狩りの最中だ。



 『神樹の森』の中層──マリィの家から──に生息する魔物、フレアアームグリズリーが今回の相手だ。




 【名 称】無し

 【種 族】フレアアームグリズリー

 【L v】72


 【生命力】7060/43000

 【魔 力】80/400

 【物 理】416

 【魔 法】329

 【防 御】177

 【俊 敏】145


 【特 性】嗅覚強化、炎耐性:大、炎上腕




 ギガレックスより弱く、ロクロック鳥よりも強い四つ腕の熊だ。四本の腕に炎を纏わせ攻撃してくる気性の荒い魔物だ。


 すでに戦闘開始からかなり経過していて、四本あった腕は一本だけになっている。


 フレアアームグリズリーは最後の力を振り絞り、残った腕を燃え上がらせ突貫してくる。


 マリィは焦ることなく、真新しい杖を掲げる。壊れた『見習い賢者の杖』と魔法袋の中に入っていた『閃光龍の宝玉』を素材にして【創造】した【閃光杖マナシャイン】を魔物に向け魔法を唱える。



「『アイスレーザー』!」



 マリィの固有魔法【融合魔法】で光属性と氷属性を組み合わせた魔法を発動させる。文字通り氷のレーザービームだ。


 私(ジェイカイザー)のジェイ・ブラスターを見て思い付いた魔法らしく、ここ最近は光+何かしらを融合させた魔法を愛用していて、私目線ではあるがかなり使いこなしてるみたい。



 【閃光杖マナシャイン】の先端に取り付けた宝玉から放たれた絶対零度のレーザービーム。フレアアームグリズリーの炎の腕を物ともせず全身を飲み込み、熊の氷像が完成する。



「セツナさま今です!」


「OK!」



 私は駆け出し腰に差した『月光刀アルテミス』を抜き一閃。


 バイザーに表示されていたHPメーターが無くなり魔物の討伐が完了する。



「ふー、お疲れマリィ」


「お疲れ様なのです! いつ見てもすごい切れ味なのです!」



 ここ最近私は私で『ジェイカイザー』には合体せず、『変身』状態である『月光剣士ルナイト』の姿で狩りをしている。


 ジェイカイザーの素体として【創造】した姿なので攻撃力など数段落ちるが“これからの事”を考えると、この姿での戦闘に慣れておいた方がいいと思ったからだ。



 そう考えるとちょっと見た目は失敗したかな……。



 好きなアニメの事を考えながら創ったから肌色面積が大きいしハイレグの角度が完全に私の好物レベルのエグさ。お尻なんて丸見えだし……どこぞの対魔族の忍者みたい。これはちょっと対策を考えよう。マリィのパンチラも含めて。



「今日はこれぐらいにして帰ろうか。結構汗かいたし、お風呂に入りたいや」


「はいです! 今日はマリィがセツナさまを洗ってあげるのです!」


「っ!?」



 それは帰ってすぐにお風呂の準備をしなければ!



 この一ヶ月で狩り以外にも色んな事を行った。



 その一つがマリィの住んでいる家だ。



 元々チヒロさんが作った家にはお風呂にキッチンと様々なものが一応揃えられていて、マリィも使っていたようだけど、数十年の間に壊れたりして使えなくなっていたようだ。なのでそれを改修、更に増築もした。

 中身はまんま日本の住宅だ。その方が私的に快適だからね。



 他にはマリィの杖を始めとした装備品などの追加だ。



 『ルナイト』と『ジェイカイザー』になる為の変身合体アイテムとして創ったスマホを改良。様々な魔法を付与したアプリを色々追加した。私だけだと不便なのでマリィの分のスマホも創った。


 追加したアプリはマリィに教えてもらった『探知』を応用したマップアプリ、私の『異空庫』アプリなんかを入れている。




 中でも『解体』アプリはかなりの自信作だ。某狩りゲームをイメージしながら【創造】したアプリで、スマホの『異空庫』アプリと連携していて収納するとそのゲームのように角や皮、魔石を自動的に剥ぎ取り(解体)してくれるようにしたものだ。


 まぁ何かしら無駄にしてる素材があるかもだけど、そのままにしておくより断然まし。


 今回手に入った素材の一つ『焔ノ熊の毛皮』は熱を帯びた毛皮みたい。この素材を使ってパジャマとか毛布を創ったら暖かそうだ。夜は冷えるんだよ。



 あ、ちなみに素材を使って【創造】する方法は『ジェイカイザー』を創る時にも使った方法だ。


 私のイメージだけではどうしても理想の強さの物が創れず、魔法袋の中にあった『月光龍の黒鎧』を使わせてもらったら上手くいった。



 他にも月光龍の剣とか色々使っちゃったけど、チヒロさんの大事な物とかだったかな……?



 いや、マリィを守る為にも力必要だったんだからきっと許してくれる筈!



 おっ、そうこうしている間にマリィの家が見えて来た。



 急いでお風呂の準備をしてマリィに隅々まで洗って貰おう!



 私は焦る気持ちを抑えきれず、お風呂場へと急行した。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る